Photo by iStock

「人の味覚」は、実は音楽に支配されていた…?

ワインを使った面白実験

BGMについつい釣られて

モチベーションを上げたいときや集中力を高めたいとき、お気に入りの音楽を聴くことは手っ取り早い方法のひとつだ。

人の気分を変えるだけでなく、注目をひきつけるうえでも音楽は効果的である。CMソングやBGMにつられて店頭の商品を手に取ってしまった経験はだれもがあるはずだ。

音楽が与える影響について興味深い研究は多いが、今回はワインにまつわる実験を紹介しよう。

スーパーマーケットのワインコーナーで、棚の片側半分にフランス産のワイン、もう半分にドイツ産のものを並べる。その棚の上にスピーカーを設置し、ときどき音楽を変えつつ、客がどちらを手に取るかを観察した。

すると、ドイツの音楽が流れたとき、ドイツ産ワインはフランス産の2倍の勢いで売れ、フランスの音楽が流れたときはドイツ産の5倍売れたという。購入者のほとんどは商品と流れていた音楽の関係に気づかなかったことから、いかに人が無意識のうちに音楽の影響を受けているかがわかる。

曲調にも人は大きな影響を受ける。同じくワインコーナーで優雅なクラシックを流すと、それ以外の音楽を流すよりもより高価なワインを手にする人の割合が圧倒的に増えたのだ。

 

またある実験では、参加者に無料のワインが出された。それを愉しむあいだに、4種類の異なる曲調のBGMが流される。

そのBGMは(1)力強くヘビー(2)繊細で上品(3)元気でフレッシュ(4)甘美でソフト、とそれぞれ特徴のある曲だが、参加者にはその意味は知らせていない。そして、それらの曲が流れるあいだに出されるワインは同じ種類だ。

その後、ワインの味を「ヘビー」「上品」「フレッシュ」「甘美」のどれに当てはまるかを評価してもらうと、参加者たちはBGMにつられるように、ヘビーなクラシックがかかっているときはヘビー、フレッシュなポップスがかかっているときはフレッシュな味わいと答えた割合が多かった。

かくもダマされやすい人間の感覚、あなたも知らないうちに音楽に誘導されているのだ。(嶋)

『週刊現代』2018年6月2日号より