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世界最大の仮想通貨取引所が「日本を拠点にしない」理由

何より大切なのは「自由」である
エミリー・パーカー, LONGHASH プロフィール

日本を拠点にしない理由

バイナンスは、仮想通貨の交換所だ。CZがドルやユーロ、人民元といった法定紙幣に手を出さなかった決断によって、バイナンスは地理的な柔軟性を手にした。

「扱う法定通貨が増えるほど、当局の規制が増えることを意味する」と、CZは昨年のインタビューで語っている。「銀行はあなたの口座を凍結できるし、電信送金を遅くすることができる」。

CZは今日では、バイナンスのビジネスは非常に拡大していると言う。バイナンスにとって最大の市場は北アメリカで、同社のビジネスの20%を占めている。英国がその後に続いて5%ほどで、中国はどんどんビジネスが縮小している。トルコとインドでも非常に人気があり、どちらも4.5%ほどを占める。

バイナンスは日本でもよく知られており、3月に金融庁が発表した同社への警告は大きく注目された。

「3月23日、われわれは金融庁から、4月6日までに日本在住ユーザーへの業務をどう停止するのか、解決策の提案をするよう書面を受け取った」と、CZは言う。

バイナンスは、すでにその提案をまとめており、日本の規制当局と現在「協議中」だとCZは語った。CZは、バイナンスが「刑事告発」に触れた警告を受けたという一部メディアの報道は完全な誤りだと述べている。

CZによれば、バイナンスはID確認や犯歴のチェック、大口取引の報告など厳格なKYC(顧客確認)を行っているという。

「私たちの取り組みは簡単に説明できる。いちから(システムを)作り直す必要はない。銀行がやっていることを同じように実施している」

日本での問題は、そうしたKYC情報をどう扱うかだ。「日本にいる非日本人を、日本のユーザーと分類するのか? またはカナダに暮らす日本国籍の人は許されるのか?」

 

CZは、バイナンスが日本から「追放」されそうになっているという見方にも反論している。「日本に拠点を置いたことはない」と、彼は指摘し、

「日本でオフィスを借りたが、まったく使わなかった。日本について学んだが、仮想通貨取引所に関する規制はちょっと厳しいから、私たちのビジネスは難しいと考えた」と述べた。

規制が厳しいとはいえ、比較的明快な日本においては、バイナンスのやり方に困惑する人もいるかもしれない。日本には認可された取引所が16社もあり、すべてが日本の規制の下で運営されている。だがCZは、日本の取引所になるつもりはないのだ。

日本の規制下にある取引所は、新しい仮想通貨を扱う際、当局からの許可を得る必要があり、公式に認められたトークン(通貨)の「ホワイトリスト」が存在する。

「私たちは1日おきに新しい通貨を追加しており、何百という通貨を扱っている」と、CZは言う。バイナンスが日本で取引所の認可を目指すなら、国際的なライバルである取引所が頻繁に新しい通貨を追加し続けていることを考えると、不利になるだろうと、彼は見ている。

「だからこそ、日本を拠点にはしない。多くの報道が私たちを否定的に報じているが、その理由は、彼らが私たちのビジネスを理解していないからだ」

CZは明らかに、メディアに対してイラついている。問題の一端は、多くのジャーナリストが仮想通貨を所有したことがないことにあると彼は言う。

「運転免許を持っておらず、車を運転したことも、シートに座ったこともないジャーナリストがいる自動車雑誌のようなものだ。自分たちがきちんと理解していない事柄について記事を書いている。ビットコインや仮想通貨について常にネガティブな印象で書く。はらわたが煮え繰り返る思いだよ」