西野朗監督が率いることになった日本代表は、ロシアワールドカップの前哨戦として、きょう5月30日にガーナ代表と戦う。
ガーナはアトレティコ・マドリー所属のトーマス・パーテイなど欧州の有力クラブでプレーする選手を招集し、相手にとって不足なし。本大会に向け、一つの試金石になるだろう。
「コロンビア、セネガル、ポーランドという強豪といかに戦うべきか?」
ガーナ戦だけで、その答えは出ない。
しかし、日本が挑戦者として戦う、という立場ははっきりしている。
「守りがベース」
それが常道と言えるだろう。
本大会で、ラダメル・ファルカオ(コロンビア代表、モナコ)、サディオ・マネ(セネガル代表、リバプール)、ロベルト・レバンドフスキ(ポーラインド代表、バイエルン)など一線級のアタッカーを擁した相手を止めるには、消耗を余儀なくされる。
日本が苦手とする、したたかさ、爆発力、高さを武器にする相手に対応しなければならない。
攻守は一体だが、まずは、いかに守るか、を準備する必要があるのだ。
人海戦術を用い、自陣に立てこもる——。「守る」というとそんなイメージかもしれないが、サンドバックのようになってしまっては、いくら辛抱しても、最後は往々にしてこじ開けられる。防御を固めるのは悪くないし、「守る」という腹づもりは不可欠になるが、気持ちまで守りに入ってしまってはならない。
攻め手をなくし、ただ守っても、相手につけ込まれておしまいだ。
その戒めとなるのが、井手口陽介をトップ下に起用した、昨年11月のブラジル戦だろう。
井手口は、日本人としては屈強なフィジカルとミドルシュートを持っている。しかし、最終ラインの前で相手の裏を駆ける閃きと技術は乏しい。その井手口を「前線からの守備要員」として使ったところに、始まった時点での限界があった。
強豪ブラジルは試合開始直後から、それを完全に見抜いていた。日本選手にボールに食いつかせては、リスクはかけずに蹴る。
たとえ日本にボールを奪われても、ブラジルの守備は整っているし、守備的MFが本職の井手口から、意外性のある攻撃を受けることはない。
どこかでミスが出ることを見透かしながら、じわじわと狙いを定め、前半だけで3得点。そして、後半は完全に流すだけの展開だった。
ハリルホジッチはとにかく前からボールを追い、できるだけ攻撃を近づけず、ブラジルの進撃を止めようとした。しかし90分間、そうした圧力は続かない。早晩、破られる防御線だったのだ。
やはり、焦点となるべきは、守り方にある。