日本カーリング界の「ゴッドマザー」が遺した愛弟子へのメッセージ

男子代表コーチ長岡はと美インタビュー
竹田 聡一郎 プロフィール

世界を見据えたジュニア育成を

ーーはと美さんは、今後また、ジュニアの育成に携わるとか。

「エリートアカデミーで、中学生以上の経験者で男子5選手、女子8選手を指導します」

ーー「長野から世界へ」を標榜したカーリング・エリートアカデミーですね。先日、開校式がありましたが、どういう基準で選手を選んだのですか?

「うまい下手ではなく、やる気のある子ですね」

ーー具体的な活動は?

「週2、3回のオンアイスと、フィジカルトレーニング。あとは合宿と遠征も計画してます」

ーーチームを組むというわけではなく、あくまで個人の強化が重点なんですか?

「まずは1年やってみて、チームはその後、組めれば」

 

ーーでは、伸びたら、上のカテゴリー、つまりたとえばSC軽井沢クラブや中部電力のようなトップチームにつながることも?

「すぐには無理だろうけど、色々な可能性は持たせてあげたいとは思ってます。なんでかっていうと、あの子たちを10年以上、囲い込んでいたでしょう」

ーーSC軽井沢クラブを?

「うん。でも、1年ごとに契約書を交わすなんてもちろんだけど、口約束でも『私、今年もコーチやるから』と宣言したこともないし、逆に『はと美さん、今年もよろしくお願いします』って言われたこともない」

ーなし崩し的に。良く言えば、揺るぎない信頼ですし、悪く言えば、ダメな芸能事務所みたいっすね。

「あの子たちが悪いわけじゃないのよ。私が勝手に自分のチームって思っていた部分も大きかったから」

ー選手やコーチ、あるいは企業との契約の明瞭化ってカーリングの課題かもしれませんよね。

「だから今回のアカデミーは色々、考えてる」

スウェーデンでは、試合前後の練習から食事の準備まで八面六臂の大活躍だった

ーそれでもトップカーラーを軽井沢からまた輩出したい願いは変わらないわけですよね?

「それはそう。日本選手権、その先の世界は見てほしい」

ーでは近い将来、アカデミー出身の選手がSC軽井沢クラブと対戦とか、夢がありますね?

「それまで私が生きていればだけど、ババアだから」

■長岡はと美
1953年3月23日、長野県生まれ。選手としても日本選手権や世界シニアで入賞経験を持つ。長野五輪の翌年、1999年にSC軽井沢クラブの前身である「AXE」(アックス)を両角友佑らと立ち上げ、現在のレギュラーメンバーが揃った2007年には日本選手権を初制覇。「グレイト・ピジョン(鳩)」の愛称で親しまれたが、平昌五輪終了後にチームのコーチを退く意向を明らかにした。2018年よりNPO法人スポーツコミュニティー軽井沢クラブが主催する「カーリングエリートアカデミー」のヘッドコーチに就任し、軽井沢から世界に挑むアスリートの育成を目指す。好きな食べ物は雲丹。