Photo by iStock

「ドル買い・円売り」のトレンドはどこまで続くか

投機筋の為替取引が好調

5月17日、米国の10年物利回りが3.10%を突破した。今年、さらなるFRBの利上げがあると見られることや、好調な消費動向や原油価格の上昇でインフレ懸念が高まるとの思惑が米国の金利を上昇させている。

一方、わが国の債券市場では超低金利環境が続いている。そうした内外の金利差拡大を受けヘッジファンドなどの投機筋は、金利の低い円で資金を調達し、金利の高いドルで運用するいわゆる“円キャリートレード”のポジションを積み上げているようだ。

今後のドルの動向を考えた時、6月のFOMC(連邦公開市場委員会)前後までは、円安が続く可能性がある。一方、11月の中間選挙を控え、トランプ政権は各国に圧力をかけ、米国に有利となるような二国間の通商交渉を求めるだろう。

そうした動きが明確になると、どうしてもドルに下押し圧力がかかり易い。その場合には、円が買い戻されて円高傾向が進む可能性もある。一筋縄では行かない相場になりそうだ。

ドル高を支える米金利の上昇観測

短期的にドル/円などの為替レートは、二国間の金利の差に影響されることが多い。このメカニズムはシンプルだ。

為替レートが一定であると仮定した場合、金利が相対的に高い国の国債を買ったほうが、より多くの金利収入を得ることができる。その分、金利の高い通貨が買われ、為替レートが上昇しやすい。足許の為替相場は、この考え方に沿って推移している。

重要なのは、米国の長期金利のトレンドが変化したとの見方が増えていることだ。特に、米金利が前回の金利上昇局面の高値水準(2013年末の3.03%程度)を上回り、3.1%台に達したことは大きい。中には、年末の米長期金利が3.5%に達するとの見通しを示す市場参加者も出始めた。従来に増して、米金利の上昇観測が強くなっている。

 

その一方、わが国では日銀が異次元の金融緩和策を継続するとの見方が多い。長期金利が上昇したといっても0.01~0.06%の範囲であり、水準は低い。生命保険会社などの機関投資家にとって、国内債券への投資で満足できる利回りを確保することは依然として難しい。その分、国内の投資家にとって、米国の金利上昇は米国債に投資する魅力的な機会と映るだろう。

そうした見方から、投機筋などの円キャリートレードのポジションが積み上がり、ドル買い・円売りが増えている。

2月下旬から4月上旬まで、大手投資銀行のディーラーなどは円売りのポジション(持ち高)を減らしてきた。5月に入り、再度、彼らのポジションはわずかではあるものの円売りに傾いている。足許の円安は、米金利の上昇が支えているといえる。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら