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トップが次々辞任するのに、財務省の仕事が滞らないワケ

なるほど、そういうことか

民間ならば大問題なのに…

2018年の官庁は空前の不祥事ラッシュである。

佐川宣寿国税庁長官、福田淳一財務事務次官が相次いで辞任。野党からは麻生太郎財務相の責任追及も飛んでいる。

これまで、財務省関連のトップ官僚が連続で職を解かれるという事態は考えられなかった。ここで気になるのは、彼らの「後任」が見つかるまでのあいだ、官庁に影響は出ないのかということだ。

今回のように、トップ官僚の辞任が突然だった場合、後任が決定するまでどのような対応が取られるのか。

 

普通の民間企業なら、トップクラスが相次いで辞任すれば一大事なんてものでは済まない。では官の世界ではどうか。結論から言えば、官僚自身はなにも決めることがないので、要職のポストが空いていても支障なく回っていくのだ。

この不思議な世界について、法律からその仕組みを読み解いていきたい。件の財務省であるが、財務省設置法第二条において、「国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、財務省を設置する」(第一項)、「財務省の長は、財務大臣とする」(第二項)とある。

事務次官は役職上のランクとして大臣、副大臣、大臣政務官の下で、これらの上位職は政治家が務める。官僚の世界ではトップである事務次官だが、省庁を統べるポストではない。

国家行政組織法第十八条では、「各省には、事務次官一人を置く」(第一項)、「事務次官は、その省の長である大臣を助け、省務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する」(第二項)とされている。つまり、事務次官はあくまで大臣の補助であり、いなければ大臣が代役を務めればいいだけのことだ。

現在の財務省では、事務次官が不在で、矢野康治大臣官房長が事務代理となっている。事務次官の「事務代理」とは奇妙な表現であるが、この役職が実際は組織のトップでなく、民間企業の専務程度のランクだとすれば、その不在はそれほどたいしたことではないだろう。

では、国税庁はどうか。財務省設置法第十八条において、「国家行政組織法第三条第二項の規定に基づいて、財務省に、国税庁を置く」(第一項)、「国税庁の長は、国税庁長官とする」(第二項)とある。民間企業にたとえれば、国税庁は財務省の支社であり、国税庁長官は支社長となる。

国税庁は、税制に関して法律で決められたことを執行する機関である。どの省庁にも言えることだが、法律の枠外の新たなことはやらない組織だ。しかも税務はかなりプロフェッショナルな能力が求められる仕事であるにもかかわらず、国税庁の長官ポストは税務に必ずしも明るくない財務省キャリアが就く。

 

これはまるで、畑違いの人間が本社からやってきて、支社長になるのと同じようなものだ。

これが意味するのは、ある意味で素人の長官が不在でも、まったく業務には支障がなく、国民の生活にも直接的な影響はないということだ。

極論ではあるが、不祥事で国民の信頼を失うくらいであれば、次官級のポストを取り消したほうがいいとさえ思える。また建設的な案として、アメリカのようにトップの外部登用を考えてもいいだろう。

『週刊現代』2018年5月26日号より

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