26歳で初めて医師から告知…知られざる「アルビノ当事者」の願い

この情報不足をどうにかしたい
崎山 敏也 プロフィール

ただ「特別扱い」するのではなく

石井さんの妻の英美さんは保育士で、英美さんが勤めていた保育園に通うアルビノの子供の母親から、石井さんが相談を受けたことが、出会いのきっかけでした。

英美さんは、アルビノの子供を保育した経験からこう話します。

「『外に出したら日焼けするからダメ』ではなく、『日焼け止めを塗れば、ほかの子たちと同じように過ごせる』とか、小さな頃から少しずつケアをしていくことで、お友達からも特別視されずに過ごせます。

アルビノはどうしても、外見からもともと目立つ存在なので、それだけでも大変です。そのうえわざわざ大人が特別扱いをすると、さらに他の子との距離が生まれてしまう。そのあたりがまだ足りていない場合があると感じています。

弱視の対応も、単に『一番前に座らせる』といった特別扱いをするのではなく、周りにうまく伝えていくことも必要だと思います」

石井さんは、英美さんの言葉に付け加えるように言いました。

「周りの人も、アルビノの『専門家』になる必要はありません。これとこれについて若干気をつかっていただければ助かるけど、それ以外はみんなと一緒なんですよ、『共に生きる』ことができるんです、ということを、簡単に、フワッとでもいいからわかっていただけたらいいな、と思ってこの本を作ったんです」

 

私はこの日、石井さんとアルビノ以外の話もたくさんしました。石井さんは『アルビノの話をしよう』の「まえがき」にも、こう書いています。

〈私は、アルビノ当事者である前に1人の人間としてどう生きるのかが大切だと思っています。(中略)アルビノは、私の一部であってすべてではありません。私はみなさんと同じ、1人の人間として生きています〉

石井さんは交流会や相談活動などを通じて、当事者やその家族、周辺の人たちと積極的に会っていますが、

「病気の関係だけだと、毎回同じ人にしか会わなくなります。それではいけないなと思って、例えば広島のアルビノの当事者の方々と話して、一般の方も巻き込んで、アート展を尾道で開催したりしました。

アート展ということで会場に入ってきて出会った人が、『あれ?この人誰?』となって、『実は私たちアルビノなんです』と話して、仲良くなってご飯を食べに行ったりもしました」

石井さんは現在、「千葉県の鉄道、船、バスなど交通の歴史資料を集める」ことにハマっているそうで、同じ趣味を持つ私が興味を示すと、「最近、戦前に茂原から走っていた南総鉄道の乗客を誘致するための鳥瞰図を見つけたんです」とうれしそうに話してくれ、盛り上がりました。

今年(2018年)の8月4日から10月14日には、地元の袖ヶ浦市郷土博物館で展示会をするそうです。もちろん筆者は足を運ぶつもりですが、近隣の同じような趣味の方も訪れるでしょう。

石井さんのことを知らずに訪れた人たちも、話が盛り上がり、石井さんと仲良くなり、そして「アルビノの話をする」――それが小さな一歩になるでしょう。