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「昔の家族は良かった」はウソなのに…なぜ国家が家族に介入するのか

「子どものいる家族」をめぐる50年史

「社会総がかり」の家庭教育支援?

2006年の教育基本法改正により、国と自治体は「家庭教育」を支援するための施策を行なうことになった。以来、「早寝早起き朝ごはん国民運動」など、全国各地で様々な「家庭教育支援」のための取り組みが行なわれている。

自民党はそうした取り組みをさらに推進するために、「家庭教育支援法」の制定をめざしていると報じられているが、すでに8県5市で「家庭教育支援条例」が制定されている*。

なぜ近年、国や自治体は「家庭教育支援」に取り組むようになったのか。

 

それは、親こそが子どもを教育する「第一義的責任」を負っているにもかかわらず、今の親はその責任をちゃんと果たしていないと考えられているからである。

その背景・要因には、「都市化」「核家族化」「少子化」「地域の人間関係の希薄化」があるとされる。

そうした現象によって、家庭教育が「困難」になり、家庭の「教育力」や「教育機能」が低下しているから、「社会総がかり」で家庭教育を支援しなければならないというのである。

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しかし実は、家庭の教育力低下の最大の要因とされる「核家族化」は、子どものいる家庭ではそれほど進んでいない(参照「『核家族化が進んでいる』は本当か? データから徹底検証」)。

少子化についても、きょうだい数は出生率ほどには減少しておらず、高度経済成長期以来、2人か3人きょうだいが7〜8割を占める。

また、2000年前後に少年犯罪の「凶悪化」論が広がり、家庭にその原因があるとされたが、少年犯罪の検挙人員は以後急減し、現在は戦後最低水準である。

児童虐待が「増加」「深刻化」しているとも言われるが、子どもの殺人被害は1970年代以降急減し、これも今は戦後最低水準にある。

そうである以上、家庭の教育力が低下しているなどとはとても言えない。むしろ、逆だ。なのに、「昔の家族」は良かったが、「今の家族」はダメだなどと言われる。いつからそんなことが言われるようになったのか。

実は、子どものいる家族に対する見方は、戦後のある時期に大きく変わった。いったいいつ、なぜ、どのように変わったのか、見ていこう。