なぜMUJI HOTEL世界第1号店は「深セン」で開業したのか

自腹調査につき忖度は一切しません
現代ビジネス編集部 プロフィール

現金はフツーに使えるがカードが使えない

実は今回の旅の前に、現代ビジネスでもおなじみの中国ウォッチャー・近藤大介氏に「深圳はアリペイやWeChatPayが幅効かせてて現金使えませんよ」と散々脅されていた。また、長年中国に赴任中の友人からも「そういや俺半年以上銀行で現金おろしたことない。日本に戻ると小銭が増えて面倒」と聞かされていたので戦々恐々としていたが……フツーに現金使える。お釣りも貰える。その後、許留山とスタバでも現金で支払いをしたが、何の問題もなく使えるし、お釣りも貰える。

キャッシュレス化がえらく進んでいる。これはアリペイのQRコード(写真:編集部)

ただ、街中のどんなしょぼいバッタ物屋でもアリペイとWeChatPayはほぼ100%対応しているのだが、クレジットカードは相当アッパークラスな店でしか使えない。ちなみにMUJI HOTELの中にあるMUJI Dinerで寝る前に1杯ひっかけたのだが、そこでも使えなかった。

結局、クレジットカードが使えたのは、UpperHills内にある超高級スーパーマーケットだけだった。本当はUpperHills内にある書店で本を買いたかったのだが、クレジットカードが使えず断念。MUJI HOTELで両替をして翌日出直そうとしたが、両替対応しておらず、「両替したければ市内の銀行へ行ってください」と言われた。しつこいようだがMUJI HOTELは最寄りの地下鉄の駅から徒歩20分……。

宿泊客は地元の金持ちばかり

翌朝、MUJI Dinerで待望の朝ごはん! 日本でもたまにCafe & Meal MUJIを利用するので、朝食は今回の旅の楽しみの一つだった。和食、洋食、中華の3種類から選べる。カフェテリアでそれらを受け取り、更にブッフェからパン、フルーツ、飲み物等を選ぶ方式だ。良品計画の広報によると、和食、洋食、中華の順で人気だそうだが、日本ではまず食べられない中華を迷わず選んだ。

メニューは蒸篭に入った焼売2個にチャーシューまん、白粥(薬味はブッフェから取る)、茹で青菜、茶叶蛋(茶葉で煮たゆで卵)、ザーサイ。盛り付けが日本のCafe & Meal MUJIに比べていささか雑。味は可もなく不可もなく、いや、日本のCafe & Meal MUJIの方が美味しい気が……。

MUJI Dinerの中華風朝食。盛り付けが大らか(写真:編集部)

ここで、ようやく他の宿泊客の属性が判明した。9割が中国人。しかも富裕層。皆派手でわかりやすいハイブランド(ロゴが書いてあるとかシグニチャーアイテムとか)に身を包んでいる。誰も無印の服は着ていない。年齢層は20代〜40代。良品計画の広報に裏取りしてみたところ、「中国大陸が最も多く、次いで香港、台湾、日本の順になっています。私たちの店舗に来店される年代の方を中心にご利用頂いております」という回答が返って来た。

他に香港人の女性2人組(広東語を喋っていて、服装が垢抜けている)が1組と、欧米人が2組、そしてゴールデンウィーク真っ只中にもかかわらず、日本人は私たちだけ……日本語通じないし、クレジットカード使えないし、両替できないし、日本人宿泊客への対応はちょっと後手に回っているようだ。

MUJI Diner。宿泊客はここで朝食を食べる。日中〜夜は宿泊客以外も利用可能(写真:編集部)

チェックアウトの際、改めて他の宿泊客の属性をチェックしてみた。どうやら皆近隣から自家用車で来ているようだし(ナンバープレートを見たら広東省の「粤」ナンバーの車ばかり)、しかもベンツ、BMW、ポルシェ等の高級外車ばかりだった。そしてヴィトン、ディオール、グッチ、miumiuといったハイブランドバッグ所持率が異様に高い。

地下鉄駅から遠いのも納得、そもそもほとんどの宿泊客が地下鉄なんて乗る必要のない近隣の富裕層なのだ。良品計画の広報にメインターゲットを聞いたところ、

「具体的なターゲットは決めておりません。強いて言えば、無印良品の考え方に共感して下さる方です。深圳を訪れる中国国内の方、および世界中からいらっしゃる方々に広くご利用いただきたいと考えています」

とのことだったが、実情はちょっと違うんじゃないかと感じた。だって、宿泊客は地元の金持ち(別にムジラーじゃない)ばかり。

 

日本では庶民の味方(でもちょっと意識高い系)の無印だが、中国では立派な高級ブランドだ。MUJI HOTEL第1号店を、今中国で経済的に最も勢いのある深圳に開業したことによって、中国におけるブランディングは見事成功したと思う。実際、良品計画の広報によると、「数値の公表は控えさせていただきますが、計画を上回る稼働率となっております」とのことだ。

繰り返しになるが、私が今回MUJI HOTELに泊まった際、無印の服を着たムジラーの宿泊客は1人もいなかった。冒頭に登場した台湾人のムジラーの友人は、それをどう思うのだろうか。