折原さんが経営する古民家にて、移住してきた母子と、折原さんのお姉さん 写真提供/折原みと

田舎の古民家経営にハマった漫画家が見た「幸せな地方移住」の条件

大切なのは現実から逃げないこと

かつて飲食店経営に手を出し、2000万円の損失を出したこともある漫画家&小説家の折原みとさん。ところが、その後茨城県の田んぼの中にある古民家を年間12万円で借り、夢の古民家経営を実現させた。失敗を乗り越えての古民家経営により、多くの「移住希望者」「移住者」に出会い、「うまくいく移住」「うまくいかない移住」の理由が明確に見えてきたという。

折原さんが経営する古民家周辺の景色。ここに移住してきた人にも多く出会った 写真提供/折原みと

19歳で上京、30代で東京脱出

今、東京などの都市部にお住いの皆さんは、地方への移住を考えたことはあるだろうか?

私自身は、19歳で上京してからの10数年間を東京で過ごし、30代になってから、都会の便利さよりも、自然の中でのゆったりした暮らしを求めて神奈川県の海辺の町へ引っ越した。その後は長野県の八ヶ岳、茨城の里山に拠点を持ち、今は海、山、里山の古民家という三拠点生活を送っている。生活のベクトルは田舎へ田舎へと向かっているが、都会で仕事に忙殺されていた頃よりも、人生は格段に豊かになったと感じている。

愛犬のこりきと古民家にて。30代を超えたときに行った小笠原での体験と、犬を飼いたいという願いとが東京から出ようと思ったきっかけになった 写真提供/折原みと

どこでもできる作家という職業と、独身の身軽さ……と言われてしまえばその通りだ。家庭を持ち、会社勤めをしている方が、生活の場所や生き方を大きく変えることは難しいだろう。だけどもし、それを望む気持ちがあるのなら、最初から無理だと決めつけないでほしい

少なくとも、住居にかかる資金は、都会よりも地方の方が安く済むことは確かだ。場所や条件にもよるが、賃貸なら月3〜5万円で借りられる家も多いだろう。家を購入するとしても、都会の相場に比べたら何分の1かの価格で広い物件が手に入る。

 

「田舎の生活は不便」という先入観を持っている方も多いかもしれないが、実際はそうでもない。よほどの山奥ならいざ知らず、今どき地方の町の国道沿いなどには、たいてい郊外型の大きなスーパーマーケットやホームセンター、ファストファッションの店が立ち並んでいる。車さえあれば、買い物にはまったく不自由しない。地方では手に入らないようなものでも、ネットでポチればあっという間に手元に届くのだから(離島などは別料金がかかったりするとはいえ)、日常生活を送る分にはさほど不便はないだろう。