検証・新橋「女子高生集団過呼吸」叱られると過呼吸になる子供たち

先生はいったいどう叱ればいいのか
西脇 喜恵子 プロフィール

集団過呼吸と偏差値の関係

今回、インターネットでは、高校の具体名を挙げ、その偏差値がどうこう言っている意見もあることを知りました。でも、それは事の本筋とは異なります。偏差値と集団過呼吸とはまったく関係がありません。たとえば、理解力の乏しさが不安を高じさせ、それが過呼吸を誘発するといったようなことは時にあるかもしれませんが、偏差値の高低がすぐ今回のようなことに直結するという発想は、短絡的どころか、根拠が全くありません。

ただ、そういう声から、実は大事な視点を提起してもらっていると考えることはできます。それが、どの生徒にも理解できる細やかな教育指導の必要性です。

修学旅行や遠足などの集団行動で、集団心理が働くことはありうる Photo by Getty Images

集団で行動するときに考えたいのは、叱り方の問題だけではありません。むしろ大事なのは、脆弱性を持っていたり、発達障害のように多面的な理解が難しかったり、そういう多様な生徒がいることを踏まえ、また、今回のようなことも起こり得るというリスクを見通して、どの生徒にも理解できる細やかな事前指導をしておくといった視点ではないかと思います。

 

叱られている内容に納得できるか

近年、精神疾患やメンタル不調は、その事後ケアはもとより、予防に重点が置かれています。

過呼吸が、極度の不安を誘因とするのであれば、事前にその不安を低減する方策を考える。今回のケースでいえば、集合時間に遅れることで、帰りの電車に間に合わなくなる、予定時間に帰宅しなければ保護者が心配するといった、その後に起きるであろう事態をあらかじめ説明しておく。

あるいは、公共の駅前広場に大勢が長い時間滞留すれば通行人の邪魔にもなる、だから時間通りに集合するようにと、遠足の前に指導しておけば、「叱る」という行為に明確な意味づけができ、不安を不必要に喚起するのを回避できます。

今回の先生方がそういうことを説明していた可能性は大いにあります。高校生なのだからわかってなければおかしいという意見もあるかもしれません。とはいえ、一人一人の生徒が、その生徒なりにそういうことをしっかり認識できているかを確認しておくことは大切です。

そうすれば叱られる状況になった時になぜ自分が叱られているのかの認識も容易になります。その上で、「叱る」という行為が、生徒のその後の成長につながるようなフォローをしてもらえたら、さらに良いでしょうか。

そんなふうに考えると、ダイバーシティが謳われる時代、今回の事例が教えてくれたことは、教育者と子どもたちとの信頼関係の重要性と、多様な教育指導方法の必要性なのかもしれません。