海を渡って日本に治療を受けに来る 「タダ乗り患者」が増殖中

この国の医療費が食い物にされている?
週刊現代 プロフィール

治療が終わればすぐ帰国

留学ビザや経営・管理ビザだけでなく、外国人が日本の公的医療保険を簡単に利用できる方法がある。本国にいる親族を「扶養」にすればいいのだ。

日本の企業に就職すれば、国籍関係なく社保に入ることが義務付けられている。社保は大別すると2種類に分けられる。

大企業であれば「健康保険組合」、中小企業の場合は「全国健康保険協会」(協会けんぽ)に加入する。すると外国人であっても家族を扶養扱いにすることができる。

 

たとえば子供が日本企業で働いていた場合、本国の両親や祖父母を扶養とすると、この両親や祖父母は日本の保険証がもらえる。日本に住んでもいないのに健康保険証を所有することができるのだ。

もし親族ががんになったとすれば、「特定活動ビザ」などを利用し、日本に呼び寄せ、日本の病院で高額な手術や抗がん剤治療を受けさせる。もちろん保険が利くので自己負担は1~3割で、高額療養費制度も使える。治療が終わればとっとと帰国しても、問題はない。

さらに本国に戻ってから治療を継続した場合、かかった医療費を日本の国民健康保険が一部負担してくれる「海外療養費支給制度」まである。

ほかにも日本の国保や社保に加入していれば、子供が生まれた際、役所に申請すれば「出生育児一時金」として42万円が受け取れる。これは海外で出産した場合も問題ない。

たとえば夫が日本に出稼ぎに来て、社保に加入すれば、本国に住む妻が子供を出産した際には42万円がもらえる。妻は日本で保険料を払っていないにもかかわらずだ。

Photo by iStock

前出の国立国際医療研究センターの堀氏は「在留期間が短く、十分な保険料を納めていない外国人が日本の保険制度を乱用すれば、国民皆保険の信頼が失われる」と危惧する。

「一部の外国人が保険制度のうま味だけを奪い取っていけば、真面目に保険料を納めてきた人には不公平感が生まれます。『フェアじゃない』と思うのが当然です。

『そんないいかげんな制度なら俺は払わない』という人が増えてきたら、それこそが制度の破綻につながってしまう」

身分や活動目的を偽って国保を利用しようとする外国人について厚労省は、「入国後1年以内の外国人が国民健康保険を使って高額な医療を受けようとした場合、『偽装滞在』の疑いがあれば入国管理局に報告するよう各自治体、医療機関に通達を出した」というが、そんな悠長なことを言っている時間はない。

外国人用の保険を作るなど、もう一度制度を見直さないと、日本の医療制度が先に崩壊するだろう。

(「週刊現代」5月21日発売号では、子どもが生まれたときに役所からもらえる「出産育児一時金」を巡る問題について、東京都荒川区の事例を中心に詳細に報じている。

荒川区では、出産育児一時金の受給者の4割が外国人となっている。もちろん、本来の理念に沿ってこの制度を利用するのなら、外国人が受給してもなんの問題もない。しかし丹念に調べていくと、今回の健康保険のように、明らかにモラルを逸脱したケースがいくつも見つかったという。)

「週刊現代」2018年5月26日号より