私が生まれた地球には、私の属する場所がない。ロヒンギャ青年の証言

「無国籍」であるということ
望月 優大 プロフィール

無国籍

その日から今まで、私はバングラデシュで暮らしています。身の安全が保証されていないミャンマーへと今後すぐに帰ることもないでしょう。かと言ってバングラデシュの中で自由に暮らすことも許されていません。

ミャンマーとバングラデシュ、どちらでの暮らしが良いかと聞かれれば、「死ぬよりは生きている方が100%マシだ」と答えます。つまり、生きていられるだけバングラデシュでの暮らしの方が良いという意味です。

(C)Kazuo Koishi

ただ、もし私たちがミャンマー政府に殺されずに済むのであれば、つまり、8月25日より前のような暮らしができるのであれば、ミャンマーでの生活の方がマシだったのかもしれません。

もちろん先ほど言ったように当時から様々な権利が剥奪されてはいましたが、家族と一緒にそれなりの暮らしを送ることはできていたので。

つまるところ、ミャンマーでもバングラデシュでも同じなのです。どちらの国も、私たちを市民としては受け入れてくれないのですから。私たちには市民権がありません。そして、大学へのアクセスがありません。移動の自由もありません。

 

問題の中心は私たちが「無国籍 stateless」であることです。市民権があって、アイデンティティがあって、そこから初めて全ての機会が生まれてくるのだと思います。人々はより教育され、発展していくのだと思います。でも、その市民権が私たちには与えられていないのです。

(C)Kazuo Koishi

バングラデシュの人たちから「ロヒンギャは教育のない人々だ under-educated people」とか「彼らは貧しい人々だ」などと言われることがよくあります。良い気持ちはしません。彼らには機会があったのですから。私たちには与えられなかった基本的人権を持っていたのですから。

もし私たちが他の人々と同じように基本的人権を与えられていたら、ロヒンギャの人々のあり方もいまとは違ったことでしょう。私たちは好きでこうなっているわけではありません。私たちは今こうあるように作られてしまったのです。

私の夢はコンピューターエンジニアになることです。そのために、大学でコンピューターサイエンスを学びたい。そして、ロヒンギャの人々がオンラインで学べるよう、私たちの言葉で学習できるサイトをつくりたい。今でも英語のサイトはたくさんありますが、ロヒンギャの言葉で学べるサイトがつくりたい。それが私の夢です。

実は、サウジアラビアにいる友人に頼んでドメインだけは取ってもらいました。まあ、いつ使えるかもわからないのですが……。

私はこの地球で生まれた

ミャンマー政府はジェノサイドをしていると言っていいと思います。世界の全ての人々がミャンマー政府に対して声を挙げてほしい。もし彼らが黙認したら、それは彼らも何らかのことにコミットしているのと同じではないでしょうか。ジェノサイドには国際社会の全ての人々が反対すべきだと思います。

私たちロヒンギャにも何らかの場所が必要です。一つの場所が必要です。

私たちは、私たち、そして私たちの祖先がミャンマーで生まれたことを知っています。私たちはロヒンギャです。私たちは市民です。ミャンマー政府による書類にも「ロヒンギャがミャンマー市民である」と書いてあるものがあります。彼らは隠そうとしていますが。

(C)Kazuo Koishi

国際社会の全ての人に教えてほしいです。

この地球の一体どこに、私が属する場所があるのか。

どこかには場所が必要です。「ここが私の国だ」と言える、そして私が大学に行って自分のしたい勉強ができる、そういう場所が必要です。

私はこの地球で生まれました。だから、この地球上にそういう場所が必要です。それだけなのです。