最新VRが逆手にとる「視覚の死角」

驚異のリアリティはどう生み出されるのか
西田 宗千佳 プロフィール

自分の何がどうだまされているのか?

先の図でいえば、白い部分はフル解像度だが、赤い部分はその半分、緑色の部分はさらにまた半分、青い部分でまた半分となっており、紫の部分では、本来の解像度の16分の1しか情報がない。

これだけ情報を削ると不自然に感じてしまいそうなものだが、実際にVRの中で見ると、驚くほど気にならない。「人間の目の特性」にきわめてうまくマッチしたしくみだからだ。我々の視覚というセンサーをだますことで、没入感を得やすい仮想現実を生み出すトリックなのである。

今後は、視線の方向を精密に認識したうえで、その動きに合わせて中心部だけを精細に描く技術が開発されていくだろう。それによって、我々ユーザーはさらなる没入感を楽しめるようになるに違いない。

VRとは、我々人間のセンサーを「だます」技術であり、その意味で手品やトリックと同じだといえる。今後のVRにも、さまざまに工夫の凝らされた技術が登場するだろうが、そこにはおそらく、我々の視覚特性や心理的特徴を逆手にとったものが少なくないはずだ。

「没入感」に浸っている自分のどのセンサーがどのようにだまされているのか——それを意識しながらVRを楽しむのも、面白い体験になりそうだ。

D.機器にだまされるのも悪くない イメージ
どのセンサーがだまされるのか、意識しながら楽しむのも悪くない photo by iStock
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