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頭のいい子どもをつくるには、「オトコ飯」が最適だった

小児科医が指南します

どんな栄養を摂り、どんな食事をしていれば、子どもは健康でいられるのか――学術研究をもとに、子どものためのベストな食事を考え続け、『小児科医がすすめる最高の子育て食』を著した医師の伊藤明子さんが、ひとつの「見本」を示します。

日本人のタンパク摂取量、知ってますか?

どこもかしこも焼き肉ブーム・ステーキブームの昨今なので、にわかに信じられないかもしれません。じつは今、日本人男女のタンパク摂取量の平均は、日本の高度成長期以前の1950年代と同じ水準まで低下しているのです。

1996年の81・5グラムをピークにした後、一貫して下がり続け、ここ数年は60グラム台後半で安定しています(国が毎年に行っている「国民健康栄養調査」最新データの2016年は68・5グラム)。

原因はよくわかっていません。研究者のあいだでは、安価で美味な炭水化物食品をより多く食べるようになったから、かつ、平成不況の影響で、どちらかというとお値段が張るタンパク食品を買わなくなった(買えなくなった)からではないか、あるいはダイエットの浸透でタンパクが敬遠されているのではないか、などの議論があります。たしかにダイエット指向も反映しているかもしれません。

そして子どものタンパク摂取量も足りません。国が5年ごとに出している「日本人の食事摂取基準」の2015年版では、タンパクの摂取基準は1~2歳で20グラム、3~5歳で25グラム、6~7歳で35グラムとなっています。

 

「国民健康栄養調査」による1~6歳の実際のタンパク質平均摂取量は44グラムですから、この数字だけからいうとタンパク質摂取量が足りているように見えます。

しかし、「摂取基準」は体調不良になってしまう不足の線引きのやや上のラインです。実際、わたしのクリニックを訪れるお子さんの食事の聞き取りを行うと、多くのお子さんでタンパクが不足していると予想されます。

食べムラや偏食の多い小さなお子さんの場合、普段の食生活でかなり意識的に摂らせないと、どうしてもタンパクが不足しがちです。大人の患者さんではほとんどの方の採血を行ってタンパクを含む栄養状態を診ていますが、基準に満たないタンパク状態の方がかなりいらっしゃいます。

タンパク不足は、筋骨格の脆弱化、筋力の低下、皮膚や髪の劣化、認知思考力の低下、情緒・精神の不安定化、易感染、免疫力の低下と、あらゆる不調疾患リスクを増大させてしまいます(腎臓の機能が低下している方などではタンパク摂取が制限されています)。

タンパク摂取量と寿命には正の相関関係があることが、戦後、動物性タンパクを日本人が多く摂るようになった結果として長寿国になったことから論じている研究もあります。

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オトコ飯の発想が子どもにいい

では、お子さんのタンパク不足をどうやって予防したらいいのでしょうか。ここでわたしからの提案があります。お父さん、お子さんと一緒に料理をしませんか?

男性に比べてタンパク摂取量が少なく、ダイエット指向が強いお母さん方よりも、「よっしゃ、今夜は焼き肉いくぞー!」というノリを持つイクメンがオトコ飯の感覚で取り組くんだほうが、子どもの食事を作るのに向いているからです。

まずは超簡単なゆで卵から、だんだん難度を上げて肉団子やハンバーグ、すこし大きなお子さんなら焼き肉に焼き魚や煮魚、お刺身も。お父さんもいっしょに食べるのですから、普段、自分が食べたいと思っている好きなタンパク系のメニューでいいのです。何も子どもの食事だからといって、自分の食べるものとちがう料理を作る必要はありません。

子どもに料理を手伝わせることで、子どもは食材の知識が自然と身につき、栄養について考える機会も増えます。そうしたお子さんは大人になってからも、比較的健康な食材を吟味して買うことができ、料理を作ること自体に抵抗感がありません。