王者に学ぶ、サッカー日本代表「勝てるメンバー」の選び方

仲間を活かし、仲間に活かされるために
小宮 良之 プロフィール

一人では勝てない戦いだから

「コンパニェリスモ」

スペインでは、勝負を左右するキーワードとしてこういう表現がある。強いて訳すならば、仲間主義、連帯感といった意味になるだろう。

結局のところ、サッカーは一人では勝てない。集団戦で、仲間を活かし、仲間に活かされるか。そこで上回ったチームが勝利を収めるのだ。

「自分が代表に戻れたら、何とかできると思う」

2006年ドイツワールドカップを前に、松田直樹が洩らしていた話を思い出す。

 

当時、日本代表の中心は中田英寿だったが、彼と反目する選手もいた。その結果、チームは一枚岩になれていなかった。

もしも、剛毅な性格が選手たちから愛されていた松田がいたら——。その軋轢は解消できていたかもしれない。

そもそも、決勝トーナメントに進出した2002年日韓ワールドカップで、チーム内で浮いていた中田を半ば強引に引き込んだのは、松田だった。

2002年日韓W杯ロシア戦の松田直樹(Photo by gettyimages)

単なる「仲良し」ではなく、絆で一つになる。自由奔放だが、素直で打算のない松田のキャラクターこそ、代表選手たちのかすがいになっていた。

コンパニェリスモを肌で感じることができた集団はしぶとい。

「(南アフリカワールドカップは初戦の)カメルーン戦がカギだった。(今まで主力だったのに)スタメンから外れたシュンさん(中村俊輔)やナラさん(楢崎正剛)が、先発選手にタオルを持ってきてくれたり、気を遣ってくれるわけ。そこまでしてもらって、ピッチに出た選手が負けるわけにはいかなかった」

南アフリカW杯を主力FWとして戦った大久保嘉人はそう振り返っている。大久保は半月板を痛めながらも、決勝トーナメント・パラグアイ戦の最後まで敢然と立ち向かった。

誰かの思いをつなぐ。そういう気持ちが勝負を左右する。

誰を選ぶにせよ——。団結がなければ、必ず敗れるのだ。