王者に学ぶ、サッカー日本代表「勝てるメンバー」の選び方

仲間を活かし、仲間に活かされるために
小宮 良之 プロフィール

第3GKは、ほとんど試合に出場する機会がない。多くの代表チームが選出せざるを得ないだけで(一人でも大会中にケガした場合、セカンドGKがいない非常事態になってしまうため)、注目されるポストではないだろう。

実力的に3番手を選ぶ、という場合もあるが、文句を言わない、真面目なGKが入ることもしばしば。短期決戦で、GK3番手がポジション争いに熱を入れすぎても、チームとしては困るのだ。

 

ムードメーカーの重要性

南アフリカW杯で優勝したスペインの第3GKは、ホセ・マヌエル・レイナだった。

レイナは陽気で朗らかな性格、話が軽妙で面白く、人を"いじる"のがうまい。人柄の良さで、なにを言っても憎まれず、慕われる。チームメイトたちが失敗や負けたショックにうなだれそうになったとき、悪い空気を引きずらせない。ロッカールームの空気を常にポジティブな方向に保つ、いわゆるムードメーカータイプだ。

明るくひょうきんなホセ・マヌエル・レイナは現在セリアA・SSCナポリ所属(Photo by gettyimages)

サッカーはメンタルスポーツで、ムードメーカーが果たす役割は小さくない。

ワールドカップは短期決戦だけに、逆説すれば「勢いで勝てるか」も重要になる。明るい選手の存在は後押しになる。

一方、短い期間でも浮き沈みは必ずある。そこでリカバリーできるか。スペインは南アフリカで初戦に敗れ(初戦で敗れた場合、決勝トーナメント進出も厳しい)、難しい局面に追い込まれたが、レイナの陽気さがチームを悲観主義から救ったのだ。

「SHOW MAN」

こんなレイナのニックネームが定着したのが、南アフリカW杯優勝後のセレモニーだった。

壇上でマイクを持ち、大勢の観客を巻き込み、盛り上げながら、23人の代表選手を紹介。それぞれの選手に対する表現が気が利いており、声音を代えながら会場の熱気を高め、笑いと感動の渦を作り上げた。お祭り男というのだろうか、一流MCも顔負けの才能だった。 

では、今の日本代表なら、明るく振る舞える選手は誰になるのか? 残念ながら、レイナほどの人材は思い当たらない。槙野智章は候補なのだろうが、誰からも愛されるという意味では岡崎慎司だろうか。

もっとも、レイナのようなムードメーカーがいたら必ず勝てる、というほど簡単な話ではない。

実際、レイナが第3GKとして参加したブラジルワールドカップはグループリーグ敗退。このときは、GKイケル・カシージャス、FWジエゴ・コスタの不調がチームのアキレス腱となって破綻した。

しかしながら、スペイン代表が団結していたことは間違いない。一役を買ったのがレイナだったのだろう。組織を補完し、それぞれを結びつける存在が必要なことは言うまでもない。