いつものトーストをもっと美味しくする方法

こんなにも奥が深いパンの科学
ブルーバックス編集部 プロフィール

パンと相性抜群、美味しい「ゆで卵」の作り方

パンにはさまざまな種類があり、それぞれが美味しいのだが、トーストと並び昔から無性に食べたくなる、素朴なパンとして卵サンドがあげられる。

作り方はシンプル。潰したゆで卵に少量の塩とこしょう、そしてマヨネーズを加えただけのタマゴサラダを食パンではさむだけ。しかし、シンプルなのに、いやシンプルだからこそ、美味しさに差が出るのだ。タマゴサラダが美味しくなるかどうかは、色鮮やかにいい具合に半熟卵を茹でられるかどうかにかかっている。

そこで、卵の科学的な性質をふまえた、美味しい卵の茹で方を紹介する。

  1. 卵(軽く水洗いする)、塩、こしょうとマヨネーズを準備する。
  2. 茹でる卵に対して十分な容積の鍋で、たっぷりの水道水に卵を浸して常温から茹でる。(茹でるときには十分な熱量がある方が望ましい)
  3. 湯温に注意する。75℃になったら、80℃を超えないように注意しながら茹でる。温度上昇をコントロールするには、火加減と差し水や少量の氷で対応する。茹で時間は湯温が75℃になってから、12~13分が目安となる。
  4. 茹であがった半熟卵はすぐに十分な量の氷水に漬ける(20~30分)。
  5. 茹で卵が十分に冷めたら、殻を剥いてから好みの大きさにカットして、塩、こしょう、マヨネーズを加えてあえる。
卵サラダ
美味しいタマゴサラダをつくるには、卵のゆで方が大切 photo by iStock

この方法で卵を茹でると卵白と卵黄部分がほどよく熱凝固して、茹で卵全体の食感が柔らかくなめらかになる。

これは、卵白タンパク質の約54%を占めるオボアルブミンという成分が、75℃で全体的にプルンプルンと凝固し、卵黄はやや粘りはあるがよくほぐれる程度に凝固するからである。卵黄の持つ風味も損なわずに卵黄の色目も鮮やかな黄色にすることができる。

一方、80℃以上で長く茹でるとオボアルブミンがプリプリの硬めの卵白状に凝固する。また、暗緑色~青褐色の硫化鉄という化合物が生成されてしまい、卵黄の周囲のくすんだ色の原因となってしまう。また卵黄中の色素の分解が進み、卵黄全体の白色化を促してしまうので、温度を上げすぎないことが重要だ。

また、茹であがった卵をすぐに冷却する目的は、余熱によって卵が凝固し過ぎるのを止めて、硫化鉄の生成を防ぐためである。

ぜひ、霧吹きを使ってトーストを、調理用の温度計を使って卵サンドを、作ってみてほしい。読んでいると美味しいパンが食べたくなる『パンの科学』。食べ過ぎにはご注意を!

卵サンド
絶品の卵サンド、食べ過ぎにご注意! photo by iStock
パンの科学 しあわせな香りと食感の秘密
パンの科学 表1

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