いつものトーストをもっと美味しくする方法

こんなにも奥が深いパンの科学
ブルーバックス編集部 プロフィール

トーストを美味しく焼くコツ

休日のゆっくりとした朝食では、バターをたっぷりと塗った美味しいトーストとコーヒーがあるだけで幸せな気分になれる。トーストの美味しさは、焼き立てのパンとはまたちょっと趣の違った、独特の色、香り、食感が作り出す。

パンは時間の経緯とともに、水分の蒸発、デンプンの老化、グルテンの硬化などによって硬くなり、パサパサ、ボソボソとした食感になる。しかし老化・硬化したパンも加熱すると、焼きたてパンとは異なる美味しさの「トースト」に生まれ変わる。再加熱することによる、新たな化学反応が生じているのだ。

まず加熱することによって、老化したデンプンが再度糊化するという現象起こり、硬化していたグルテンが軟化するので、食パンの白い部分であるクラムの食感をソフトにする。さらに加熱が進み。表面温度が150~160℃になると、クラム表面でメイラード反応が生じるので、トーストに焼き色と香りがつく。

表面温度が190~220℃になると、今度はクラムの糖質がキャラメル化するので、軽く焦げ目がつくとともに適度な焦げ臭をもたらす。

普通にトーストしても美味しいが、さらに美味しくするコツがある。

まずトースターを十分に予熱すること、そして高温で短時間焼成(トースターにもよりますが200℃2分半を目安に)すること、もっとも重要なのがクラムの表面を加湿(パンの表面、裏面に霧吹きで水分を吹きかける)すること。

これでトーストは断然美味しくなる。外側がカリっとサックと、内部は閉じ込められた水分が残りしっとりとして、食感の対比を生み出す。噛んだ時の咀嚼音もまた、美味しさに影響する。

また、科学的には食パンを高温で焼くと、表面は熱く中は冷たい状態で、表面と内部に温度差が生まれる。温度を均一にするために食パンの中では外側の温まった水分が中央に移動。その結果、焼く前よりも、中心部分の温かい水分が増えて、トーストが美味しく焼き上がるというわけだ。

トースト
少しの手間でトーストが美味しくなる photo by iStock