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横浜DeNAベイスターズ 「ハマのプーさん」が辿り着いた境地

宮﨑敏郎29歳、2年連続の首位打者へ

4月中旬の8連勝を皮切りに、セ・リーグ首位争いに食い込むDeNAを引っ張るのがこの男。まるでぬいぐるみのようなずんぐりとした体型からシュアなヒットを量産する29歳のバッティングに迫る。

「振らされない」コツ

昨季、セ・リーグで規定打席(試合数×3・1)に達した選手は28人いる。その中で、もっとも三振が少なかったのが打率3割2分3厘で首位打者に輝いた宮崎敏郎(横浜DeNA・29歳)だった。

523回打席に立って、三振はわずか47。ほぼ11打席に1回の割合である。三振をとるのが無理なら打ち損じを待つしかない。

元巨人の投手総合コーチでDeNA戦の解説席に座ることが多い川口和久の分析。

「左足はいらないよ、とでも言いたげなフォーム。右足だけで打っている。あれだけボールを呼び込んで捌かれると投手はどうしようもない。最後は左投手ならカットボール。右投手はシュート系の沈むボールでミスショットを待つしかありません」

見てくれは「ハマのプーさん」というニックネームが示すように茫洋としていて、つかみどころがない。ところが打席に立てば一分の隙も見せない。そのギャップに魅力が宿る。

宮崎が言う。

「昨季、首位打者を獲れた理由のひとつとして、ボール球を振らなくなったことがあげられると思います。それまでは、こちらから打ちにいくボールが多くて、来た球にバットが衝突していたような感じだった。そういう打席が昨季は少なくなりましたね」

同じ行為でもバットを「振る」のと「振らされる」のではまるで違う。それは似て非なるものだ。プロ入り5年目にして、宮崎はそのコツを掴んだというのだ。

 

自身が「会心の一打」と振り返るホームランがある。昨年10月29日、敵地ヤフオクドームで福岡ソフトバンクのセットアッパー森唯斗から奪った左中間最深部への勝ち越し2ランだ。

DeNAはセ・リーグ3位からクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージで2位阪神を撃破、ファイナルステージではリーグ王者の広島をねじ伏せ、19年ぶりの日本シリーズにコマを進めた。

下剋上の波はパ・リーグ王者をものみ込むのか。0勝1敗で迎えた日本シリーズ第2戦。1対1の6回表、2死一塁の場面で宮崎は打席に立った。

森は強気のピッチングが持ち味の本格派だ。2球で追い込まれたが、その後、際どいコースのボールを3球続けて見極め、フルカウントに。ドームに快音が響き渡ったのは6球目だ。宮崎はひと振りで内角に食い込むツーシームを仕留めてみせたのだ。

「ちょっとバットの根元でしたが、それをきっちり押し込むことができました」

結局、試合は3対4で敗れたが、宮崎の勝負強さが光った。