「STAP細胞はあります」から4年、地獄をさまよった小保方氏の今

『小保方晴子日記』を読んで
佐藤 優 プロフィール

〈『NHKスペシャル』の残像が脳裏に焼き付いて離れない。泣いてたまるものかと気を張っていたら、眠れなかった。今もまだ動悸がする。

BPOへの意見書を準備しなくては、ホームページを作らなくてはなど、するべきことは浮かぶのに、11時頃まで体が動かず、姉に電話。

「はるちゃん、確定申告しなくちゃね」と言われ、今もなおこの社会で生きる義務を課せられていることが不自然に思えた〉。

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こういうときには確定申告などの手続きを怠ると、それが不祥事として報道されることがある。姉が細心の注意を払って小保方氏を守っていることが伝わってくる。

ちなみにこのBPO(放送倫理・番組向上機構)への申し立てについては、「名誉毀損の人権侵害が認められる」「放送倫理上の問題も認められる」と小保方氏側の主張が認められた。

 

さて、小保方氏の将来を示唆する興味深い記述もある。2016年6月25日(土)の日記にこんな事実が記されている。

〈講談社の文芸の担当編集者から小説執筆の練習課題が送られてきた。お題は大学受験をテーマにした短編小説。せっかく人生のトラウマを乗り越えようとしているのに、よりにもよって別の思い出したくない人生の思い出を書くことになってしまった。

お昼から書き始めて、朝の4時に2万字ほどの原稿を書き終わった〉

半日強で、400字換算で50枚の原稿を書くことができるのは、たいへんな生産量だ。『あの日』も『小保方晴子日記』も当事者手記なのでジャンルとしてはノンフィクションに属する。

ノンフィクションでは架空の事柄は書けないが、小説ではこの縛りがなくなる。科学よりも小説の世界においての方が、小保方氏の才能がより発揮できると思う。

『週刊現代』2015年5月19日号より