安倍首相の「5年半分の映画動静」を新聞読み比べ芸人が深読みする

え、このタイミングであの作品を?
プチ 鹿島 プロフィール

『ゴーン・ガール』を昭恵夫人と鑑賞

注目したいのは2014~2015年だ。

2014年は1月2日に『武士の献立』を1本観ただけ。次は2015年1月1日なので1年間のブランクがある。

2014年は「消費税8%に引き上げ」「憲法9条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認」「政治とカネで小渕優子経産相らが相次いで辞任」などがあった年。映画を観に行く余裕がなかったのかもしれない。

この逆パターンでは「セクシー個室ヨガ通い」と『週刊文春』に書かれた林芳正文科相がいる。

私はあの店のサービス内容より大臣が「平日の午後」「公務と公務のあいだ」にヨガに行っていた事実が気になった。わざわざそんな時間帯に?と批判されたが、そこまでしてリフレッシュが必要だったと考えると、文科相にとって「加計学園問題」はやはり相当にヤバいのだろうと想像できる。

安倍首相に話を戻す。2014年に1本しか観れなかったことを取り戻すためか、2015年は元日に『バンクーバーの朝日』を観て、2日に『ゴーン・ガール』を鑑賞している。このチョイスが凄い。『ゴーン・ガール』は夫婦で観ちゃいけない映画だからだ。

《完璧な夫婦のはずだったふたり。しかし、妻の失踪をきっかけに、
 互いの知らなかった秘密が暴かれていく──そして待ち受ける“衝撃”の展開とは!?》
(映画.com)

安倍首相は正月からこれを「昭恵夫人や母洋子さんらと」観たのである。すごい。

そしてこの年何が起きたのか。「森友学園」問題である。

森友学園への国有地売却をめぐる経緯をみると、この年の9月に『安倍昭恵氏が学園の幼稚園で講演。新設予定の小学校の名誉校長を受け入れ』(朝日新聞・2018年3月13日)をしている。

『ゴーン・ガール』のほかの宣伝文をみてみよう。

《最も近しい存在=パートナーこそが、実は最も謎めいた存在であることを、見る者すべてに突きつける衝撃のサイコロジカル・スリラー》(映画.com)

これは昭恵夫人の行動そのものではないか。さらに国民からすれば公の場で説明を最も聞きたい昭恵夫人がまさに今「ゴーン・ガール=姿を消した女」状態になっている。

さらには安倍首相には「加計学園」問題がある。同学園の獣医学部新設計画について首相は「2017年1月20日」に初めて知ったと説明した。しかし柳瀬唯夫元首相秘書官が参考人招致されたのも「それ以前に首相は知っていたのでは?」という疑問があるからだ。

ちなみに「2017年1月20日」の2日後、首相は『沈黙 サイレンス』を観ている(1月22日)。官邸の沈黙モードが首相動静でうっかりわかった。

 

続いて注目したいのが今年2月4日に観た『噓八百』 である。次の記事に注目してほしい。

『安倍首相、意味深タイトル…映画「嘘八百」鑑賞』(日刊スポーツ2月5日)

《安倍晋三首相は4日、都内の映画館で映画「嘘八百」を観賞した。(略)先週の予算委は、森友学園の国有地取得の経緯や茂木敏充経済再生担当相の線香問題など「本当かうそか」を連日追及される立場だった首相。はからずも、意味深なタイトルの映画観賞になった?》

スポーツ紙は面白おかしく書いたが、サプライズは翌日の国会だった。国有地売却の交渉に関し、籠池前理事長が夫人と電話で話したと主張する音声データなどに関して問われた安倍首相は、

「真っ赤なうそ、うそ八百だ」

と発言したのである。

《前日鑑賞した映画の題名を引用し、声を荒らげる場面もあった。》(日刊スポーツ2月6日)

どう考えても前日に観た『嘘八百』の影響がうかがえる。前日に映画を観たのは周到な計算だったのか、それとも観たものに影響されやすいのか。後者だったらちょっと心配。