メディアが放つ印象操作「サメは人を襲う」は疑ったほうがいい

もしウソだと思ったら…それは洗脳です
沼口 麻子 プロフィール

サメと聞いて映画「ジョーズ」のモデルになったホホジロザメだけが思い浮かんだなら、ライオンだけを見て哺乳類を語ったり(実際にはハツカネズミもカモノハシもヒトも哺乳類だ)、フェラーリだけを見て車すべてを理解したように思うのと同じこと。

5月10日に『ほぼ命がけサメ図鑑』を上梓した。

スコットランドの世界遺産セントキルダ島の海では、最大全長11mにもなる巨大なウバザメと泳ぐという長年の夢を果たしたものの死にかけたり、明滅する深海ザメの美しさを目の当たりにしたり、悪魔のサメといわれたミツクリザメを食べてみたり。

「悪魔のサメ」と呼ばれるミツクリザメの頭部と筆者

また幻の巨大ザメであるメガマウスザメの公開解剖に立ち合って、サメとヒトの知られざる関係性を知ることになったり、三内丸山遺跡からサメの骨が出土した青森の郷土食、世界一美味しいアブラツノザメに舌鼓を打ち、パプアニューギニアでは、まだ和名がついていない希少種の「歩くサメ」を見て……わたしがこれまでシャークジャーナリストとして出会ったさまざまなサメとの体験を一冊にまとめたものだ。

本書に登場するサメの本当の姿を知って、「サメ=狂暴な人食いモンスター」という洗脳から解き放たれることを心から望みます。よろシャーク。

読書人の雑誌「本」2018年6月号より