みずほ・三菱・三井住友…メガバンクの「支店長」が消滅する日

判を押すだけの「エリート」は消える
週刊現代 プロフィール

憧れだったはずの支店長が、あたかも一人の雑用係のようになっているのだから衝撃的な光景だ。

いったいなぜこんなことが起きているのかというと、ひとつには銀行の稼ぐ力が衰えてきたのが大きい。企業に1億円を融資しても50万円ほどの利ザヤしか稼げない超低金利時代に、人口減少化が追い打ちをかけて、銀行の国内事業はじり貧化している。

『銀行員大失業時代』著者で、HCアセットマネジメント代表の森本紀行氏は言う。

「メガバンクはこれまでは駅前の一等地に支店を構えて、大量の行員を抱え込んできたが、いよいよ維持できなくなっています。

そこへきて、AI(人工知能)やフィンテック(IT技術を活用した金融サービス)などの技術革新が進展したことで、銀行員の仕事を最先端テクノロジーで代替する動きが急速に進んでいる。

米バンク・オブ・アメリカが'15年に発表した予測では、向こう20年以内にフィンテックでさまざまな仕事がロボットに代替されて2500万人が失業するとされており、それが現実化してきた。

これからは銀行員の少なくとも半数、あるいは7割くらいが先端テクノロジーに仕事を奪われることになるでしょう」

 

実際、「支店のデジタル化」はほかのメガバンクでも進んでいて、たとえばみずほ銀行八重洲口支店では、真っ先に顧客を出迎えるのは制服を着た行員ではなく、なんと人型ロボット『ペッパー』である。

支店をさらに奥へと進むと、テレビ電話を通じて投資相談を受け付けるブースまで用意されており、支店内は近未来的な雰囲気すら感じさせる。

元富士銀行行員で、『銀行員 大失職』などの著書がある経営コンサルタントの岡内幸策氏は、「そうした支店のデジタル化が進むほど支店長の仕事は消えていく」と言う。

「これからは『バーチャル行員』が受け付けをして、融資案件も多くをAIが審査するため、支店長の存在感は薄れていくでしょう。

'90年代までの銀行の支店長の仕事といえば、朝、銀行に来て朝礼を済ませるとまずは稟議決裁が必要なものにハンコを押して、次に融資案件についての協議を行っていたが、そうした仕事は急激にデジタル化されていくわけです。

最近、支店長らが集まる場で講演をした際に『いまの立場で何をしたいですか?』と質問したところ、明確な答えは誰も持ち合わせていませんでした」

そうしたなか、4月27日には衝撃的なニュースが銀行界を駆け巡った。

三菱UFJ銀行は現在、テレビ窓口で、口座開設、ローン手続きなどを行えるサービスを展開しているが、今後はそうしたテレビ電話などで手続きができるセルフ型店舗を拡充。一方、旧来型の有人店舗を大幅に統廃合していくと報じられたのである。

AI化やフィンテックが恐ろしいのは、支店長の仕事量を減らすだけではなく、店舗の無人化で支店長ポストそのものを激減させていくことにある。高嶺の花だった支店長が「仕事消滅」しかねないとは、いったい誰が想像しただろうか。

「これからメガバンク各行は、50歳前後になった支店長から順にグループ会社や取引先へと出向させていく早期退職策をフル稼働で加速させていく見込みです。

メガバンクではバブル期に大量採用して、現在40歳代後半のバブル入行組が大量にいることから、今後は『第二の職場』の受け皿をめぐって熾烈な争いが起こるでしょう。

これまでは支店長を務めれば、50歳前後でグループ会社に移って、悠々自適の生活というのが王道の銀行員人生でしたが、それすら約束されなくなってきたわけです」(前出・浪川氏)

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