認知症に「性欲ギャップ」…高齢者の性を巡る深刻すぎる問題

田原総一朗×宋美玄
田原 総一朗 プロフィール

かみ合わない理由

宋氏は、著書でこんな書き方をしている。

<それなりの年齢になれば、無理してセックスをしなくてもいいのではないか。

そういう考えを否定するつもりはありません。けれども、性欲を感じるのであればセックスをするのは当然です。

そもそもセックスは面倒くさいものです。相手がいないと成立しないのですから、当然です。自分が描いている通りの理想のセックスが努力なくして叶うことはまずないのです。しかし、その努力を経てこそ得られる境地があることもまた事実です。

熟年期のセックスは、男女の関係性の集大成。ロマンスに始まり、エロス、ふたりの間のコミュニケーションと、これまで歩んで来た道のりがそのまま表れる。

充実したセックスライフはこれまで頑張ってきた人生へのご褒美のようなもの。存分にエンジョイしていただきたいと思います。

あなたにとって、愛する人とのセックスが生きる楽しみと原動力になれば幸いです>

熟年期のセックスを、こうして肯定的に捉えられればよいだろうが、そううまくいくものか。

宋氏は、微笑を絶やさず、初対面の人間でも緊張させない雰囲気を持った女性であった。

宋先生プロフィル入る

――いきなり問いますが、宋さんに性的な相談をする人は、若い人と高齢者、どちらが多いですか。

「体験から言うと、年齢が高い方が多いです。もう、60、70になっている人が多い」

――いろんな調査によりますと、女性の方が、早くセックスが億劫になるようですね。局部が痛くなったり……。

「痛くなるのもあるし、性欲って、男性ホルモンによって生じるものだから、加齢とともに減っていくんですよ。痛くなるのはいくらでも改善のしようがあるんです。性欲も、ホルモンを補充したり、いろいろと戻す方法はある。でも、そこまでしてしたくないという人が多いんですよ」

――女性は、早いと60代初めで、億劫になるのではないですか。

「更年期ぐらいで、もう、嫌だという人がいます」

 

――高齢の人が相談に来ると、どういうお話をされるのですか。

「まず、基本的にセックスって、したくない人はしなければいいし、したい人はすればいいと。そういうものなんですが、問題になるのは、パートナーと温度差が出ることです。パートナーとしておつきあいをするんだったら、どちらかが一方的に100%我慢するというのはいかがなものか、という話をします。

痛くなくする方法は、ホルモン療法とか、ローションを使うとかいろいろあるので、女性には、夫が求めてきたら、痛くても何回かに一度くらいは応えてあげてもいいのじゃないですか、と話をするのですが、最終的にかみ合わないことがよくあります」

――どこがかみ合わないのですか。

「セックスを、片方はしたい、そして片方はしたくない。かみ合わないのは当然です」

――男性は、60代でも、70代でも、なかには80代でも性欲がある。この男女間のギャップを、どうすればよいのか。

「よく、妻と仲良くしていればよいとか、愛し合っていればよい、などと言いますが、私は、それでは無理だと思います」