男性は要注意…?最も歯周病になりやすい職業とは

糖尿病や心筋梗塞との関連も
堀川 晃菜 プロフィール

歯周病との関連性が指摘されている疾患としては、糖尿病、心筋梗塞などの心血管疾患、関節リウマチなどの慢性炎症疾患が挙げられます。歯周病がこれらの疾患にどう悪影響を及ぼすのか、逆に、全身性の慢性炎症疾患が歯周病を増悪させるのか? その因果関係はまだ完全には解明されていませんが、口の中から全身へと波及する理由として、

  1. 歯茎が出血すると、そこから細菌や、菌がばらまく毒素が血管内に入り込み、血液を介して全身に広がる
  2. 炎症反応が起こると、炎症性メディエーターと呼ばれる物質が体内で生産されるため、それが全身にも影響を及ぼす

といった経路が考えられています。

血流のイメージ血流を介して全身へ悪影響が及ぶと考えられている photo by iStock

発症リスクに「職業格差」がある

喫煙やアルコール摂取などの生活習慣が、歯周病の危険因子となることは知られていましたが、岡山大学・愛知学院大学・三重大学の共同研究グループは、平均年齢41歳の歯科検診の受診者3390人を対象に、5年間(2001〜2006年)の追跡研究を行った結果から、男性では歯周病の発症リスクに職種差があることを2016年に明らかにしました。

最もリスクが高いと判断された職業は「運輸・通信従事者」(自動車や電車、船舶、航空機などの運転・操縦の仕事、通信機の操作に関する仕事をしている人)でした。専門的・技術的従事者(科学的知識を応用した技術的業務や、医療・法律・教育など専門性の高い業務に就いている人)と比較すると、運輸・通信従事者は2.74倍、生産工程・労務従事者は2.52倍、販売従事者は2.39倍、歯周病発症のリスクが高かったことが明らかになりました。

ではなぜ、このような結論に至ったのでしょうか。

 

このリスクの値は、調査開始時には歯周病でなかったものの、5年後に歯周病になっていた人のうち、重度の歯周病を患っていた男性において評価されたものです。評価の上では、すでに歯周病に影響を与えることが明らかになっている喫煙や飲酒、糖尿病や肥満、そして年齢などの因子は加味されているため、純粋に職業によって生じる差と捉えることができます。

リスクが高いとされた職種は、残業などの長時間労働や夜勤により、十分な睡眠・休息がとれない傾向にあり、仕事による精神的なストレスが高いことが報告されています。

夜勤夜勤にはリスクあり? Photo by Nicolas Hernandez from Burst

さらに、職業による精神的なストレスは、歯磨きなどの習慣(歯科保健行動)に悪影響を及ぼすことも知られていることから、研究グループは「職業間における歯科保健行動の違いが、職業間で歯周病発症に差が生じた原因になったのではないか」と推察しています。

ちなみに、先ほどから「男性限定」の話になっていますが、女性では職種による有意な差が見られなかったとのこと。その点については「女性は男性に比べ、健康に対して気を遣う傾向にあり、社会経済学要因(学歴、職業、経済力等)を受けにくいのではないか」と述べられています(ただし、調査対象者の数が、男性は2848人であるのに対し、女性は542人と少ない点は気になるところです)。