自分の考えを揺さぶる「新たな発見」を導く読書法

藤原帰一「わが人生最高の10冊」
藤原 帰一

藤原帰一さんのベスト10冊

第1位「象を撃つ」(『オーウェル評論集』所収)
ジョージ・オーウェル著 小野寺健編訳 岩波文庫 970円
著者自身の経験から「権力」という存在の本質を探っていく。不朽の傑作『1984年』の原点とも呼べるエッセイ

第2位『ペスト
カミュ著 宮崎嶺雄訳 新潮文庫 750円
無慈悲な運命に抗えない人間たちの姿を通して、不条理に満ちた世界の姿を明らかにする。実存主義文学の記念碑

第3位『定本 想像の共同体 ナショナリズムの起源と流行
ベネディクト・アンダーソン著 白石隆・白石さや訳 書籍工房早山 2100円
ナショナリズムを捉えた古典ですが、〝人間はなぜ観念を受け入れるのか〟という問いも考えさせる傑作です

第4位『富士
武田泰淳著 中公文庫 1143円
「大戦期における人間を、その〝歪み〟を含めて鮮烈に表現しています」

第5位『独裁と民主政治の社会的起源 近代世界形成過程における領主と農民〈I〉〈II〉
バリントン・ムーアJr.著 宮崎隆次、高橋直樹、森山茂徳訳 岩波書店 入手は古書のみ
どんな社会が民主政治を実現するのか。「民主政治の誕生に隠された暴力も見逃さない」

 

第6位『国際社会論 アナーキカル・ソサイエティ
ヘドリー・ブル著 臼杵英一訳 岩波書店 入手は古書のみ
「国家に分断されながら、世界が戦争状態の継続にならないのはなぜか」

第7位『石橋湛山評論集
松尾尊兌編 岩波文庫 900円
「理念ばかりでなく、自国利益だけでもない国際関係。自分で考えた言葉を感じます」

第8位『忠誠と反逆 転形期日本の精神史的位相
丸山眞男著 ちくま学芸文庫 1400円
「共同体による強制から自立した個人が、武家社会の倫理から生まれてゆく」

第9位『第四間氷期
安部公房著 新潮文庫 590円
「人間は未来を受け入れる他に選択肢がないという事実を突きつけ、突き放す」

第10位『個人的な体験
大江健三郎著 新潮文庫 550円
「障害を持つ子どもをめぐる問いの彼方に核実験がある。大江ワールドです」


『週刊現代』2018年5月19日号より