大きな病院を選ぶなら、絶対確認したい「3つのポイント」

かしこい患者になるために(3)
杉田 玲夢 プロフィール

通院のしやすさは無視できない

全国どこでもいいから、大腸がんの手術の最も得意な病院を教えてほしい!

私の会社は、患者さんに実績ある病院を紹介する事業を行っているので、ときどきこんなリクエストをいただきます。

お気持ちはよくわかりますが、結果として新幹線を使わなければ通院できないような病院を勧めることはほとんどありません。

なぜなら、治療というのは1回では終わらないからです。

手術自体はもちろん重要です。ただ、事前の検査結果から術式の検討、術後に合併症などが起きていないかというフォロー、外来での経過観察、これらすべてが治療行為であり、医療の質にかかわる重要な部分になります。

仮に手術だけ遠くの実績のある病院で受けて、その後は近くの病院で見てもらったとしたらどうでしょう。手術や入院中の経過に関する細かい情報までは、共有されないので、やはりフォローの質は少し落ちると思います。術後に何かあっても、すぐに手術を受けた病院を受診するということも難しくなります。

がんであれば、治療後5年間は治療を受けた病院の外来に定期的に通うことが一般的です。病院が遠ければ遠いほど、時間や体力、受診のモチベーションを奪われてします。

必要な通院の回数や頻度は病状によって異なるので一概にはいえませんが、やはり自宅から2時間以上かかるような病院を選択するのはあまり得策とは言えません。

近い分には、通いやすければやすいほどいいと思います、その場合は、最初に述べた実績とのバランスで決めればよいでしょう。

 

さらにベストを目指すなら

さて、運良く実績のある病院が家のすぐ近くに見つかっても、決断する前にもうひとつ考慮すべきことがあります。

実績がある病院ほど、患者さんが殺到していて、すぐには治療に入れないことがあるからです。

すぐに診てもらいたくても、CTやMRIの検査や、手術室のキャパシティがいっぱいになってしまってたらどうしようもありません。待つ間、病状の進行に不安を抱えながら日々を過ごすことになります。

はたして、自分の病状でどれほど待っていても大丈夫なのか。そして、その病院はどれほど待たされるのか。

残念ながら、この2つの情報は、一般の人にはかなり得づらい情報でもあります。

医療関係者であれば、様々な病気の自然経過をみた経験や知識があるので、どの病気がどれぐらいのスピードでどの程度進むという感覚がありますが、一般の人にはイメージできないでしょう。

たとえば、脳腫瘍と一概にいっても、悪性脳腫瘍と良性脳腫瘍では進行のスピードが全然違いますし、そもそもご自身の病気を脳腫瘍とは理解していても、悪性か良性かまでは知らない方もいます。

各病院で治療までどれほど時間がかかるかも、なかなか明確にはなりません。なぜなら、緊急性の高い患者さんがいたら、そちらを先に治療することがあるからです。だから、何人が入院待ちしているかはわかっても、それが1つずつ減っていくというようには進みません。

実際に病院の予約時に、受付で手術までどれぐらい待つかと質問してみても、病状によるからお答えできない、としか回答されないでしょう。

それではどうすればよいか。この2つの情報は、病気が判明した際のクリニックの先生に事前に相談しておくのがよいでしょう。

大きな病院を受診する際には、クリニックで診断を受けて、紹介状を書いてもらっていることがほとんどですから、クリニックの先生に「その病院はけっこう混んでいるか」「何ヵ月以内ぐらいに手術受けたほうがいいか」と聞いてみてもよいでしょう。

ほとんどの先生は病状に関しては教えてくれると思いますし、その病院に何度も患者さんを紹介したことがあり、病院と関係性を築いている先生であれば、待機期間も耳にしていてなんとなく教えてくれる可能性があります(弊社ではこのあたりのご相談にものっております)。

以上3つのポイント、「実績の見極め」、「通院のしやすさ」、そして「待機期間」を確認できれば、大きな病院はかなり適切なところを選ぶことができるでしょう。

しかし、病院を選べば終わり、では実はありません。結局のところ、医療の質を担保するのは、個々の医師だからです。

ではどうやって医師を選ぶのか。稿を改めてお伝えしましょう。

名医検索サイト「クリンタル」の代表取締役・杉田玲夢さん(医師)が、かしこい患者になるためのコツを明かしたバックナンバーはこちら http://gendai.ismedia.jp/list/author/reimusugita