政府は「人口減少」に無関心?地方創生が地方を壊す未来がやってくる

「地方消滅」から4年、何が進んだのか
山下 祐介 プロフィール

地方創生は、その目的が人口政策なのか、産業政策なのか、何を目的にしたものなのか、まったくあやふやなものになってしまったのである。

地方産業づくりは、地方創生の論理としては人口問題解消のための手段であるはずなのに、経済政策が過剰に強調されたことで、地方の産業づくりこそが地方創生の目標だという雰囲気にさえなっている。

しかもまた、この地方創生を進めるため政府は東京に本部をおき、そこに財源を集め、配分していくことになったが(新型交付金が成立し、またなにより国家戦略特区という手法が確立された)、その配分に競争原理が持ち込まれてしまった。

競争をし、結果を出したところにさらに配分を多くしていくのだというが、しかしこうした競争原理は(国民への受けはいいのかもしれないが)結局は政府の権限強化につながり、東京一極集中を強化することにつながっている。

東京一極集中とは、元を正せば、東京(というよりも、正確には政府・国)への権限の過集中が引き起こしたものだからだ。

地方分権抜きの競争は、財源を握る政府の権限強化となってしまった。東京一極集中を阻止するのが地方創生の目的のはずだから、これもまたどう考えても理屈に合わない。

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さて、こうした仕事づくりと、競争を通じた中央の権限強化いう形で地方創生が方向付けられれば、そのKPIは当然、創出された雇用の数や、所得の額の増加といったことになる。

しかも地方間の競争になったのだから、各地方自治体が結果として出てくる数値を競い合い、成績のよいところが政府からさらなる財源をつけてもらえるという、補助金獲得競争がエスカレートしていくことになる。現にいま、地方創生の現場はそうなっている。

だが、そもそもの問題は経済ではなく、人口減少であったはずだ。

こうした各個別地域の経済指標の上昇が、人口数(とくに出生数)の増加とどうつながるのかは不明であり、それどころか、東京がそうであるように、出生率と経済指標が相反することからこの話ははじまったのだから、むしろ下手に競争をあおれば、ますます若者は地方を離れ、人口減少が進むのではないかとさえ危惧されるのである。

 

少子化抑制を検証しない政府のやり方

政府がPDCA強化を主張するのなら、まずはこの事業そのもののPDCAを政府自身がしなくてはならない。

人口減少ははたして「稼ぐ力」をつけることで止まるのか。この号令は本当に正しいのか。その見通しはついたのか。

平成27年12月に提示された「総合戦略2017改訂版」では、2017年度が5ヵ年の計画の中間年にあたるものとして、これまでの地方創生の事業効果についての検証が行われている(総合戦略2017改訂版、6〜8頁)。

点検は5名の有識者による「まち・ひと・しごと創生総合戦略のKPI検証チーム」によるもので、平成29年10月から11月の3回にわたって実施されている。座長は日本創成会議のメンバーであった樋口善雄慶應義塾大学教授で、増田寛也氏もメンバーの一人だ。

その結果は「総合戦略2017改訂版」発表直前の平成29年12月13日に『まち・ひと・しごと創生総合戦略のKPI検証に関する報告書』としてまとまられ、「総合戦略2017改訂版」では3ページを割いて紹介されている。