政府は「人口減少」に無関心?地方創生が地方を壊す未来がやってくる

「地方消滅」から4年、何が進んだのか
山下 祐介 プロフィール

「まずはしごとから」地方創生に潜む欠陥

まずは、いま述べたPDCAから確認しておきたい。

PDCAサイクルとは、事業を管理運営していく手法として企業経営の現場から発案され、行政経営の場にも応用されているものである。

Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階からなり、これを繰り返すことで業務が継続的に改善されるという。

そしてこのプランとチェックにあたって、KPI(key performance indicator)を設定し、計画を目に見える形で目標化してその達成度を適切に評価し、改善につなげていくことができるとされている。

PDCAやKPIは、使い方さえ正しければ、地方創生においても適正な事業運営に役立つはずである。だが今回の地方創生には大きな欠陥があり、それが地方創生のPDCAを歪めつつある。

その欠陥とは何か。

いま述べたように、地方創生が問題にしているのは、日本社会の止まらない人口減少である。

そして、その原因には東京一極集中があるという。

〔PHOTO〕iStock

というのも、出生率を見ても47都道府県で群を抜いて低い東京都に、子育て世代の若者たちが集まっている。最も仕事があり、経済規模の大きな東京で、最も子どもが生まれにくいという現実があるからだ。

そこで東京一極集中を阻止し、人口減少を抑制し、最終的には約1億人での安定化をはたしていこう――これが地方創生の最初の目的であった。

そして人口減少社会の具体的な像としては、「まち・ひと・しごと」が悪循環に陥っているので、この悪循環を断ち切り、好循環へと変えることだと政府の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成26年12月)は主張している。

 

ところが、この総合戦略は、そう述べた直後に「まずは、地方における「しごと」づくりから着手する」といい、「まち」「ひと」「しごと」のなかからとりわけ「しごと」を重視し、これを重点的に事業化することを明言しているのである。

さらに総合戦略の策定後に政府は、基本方針(平成27年6月など)を追加するなどして、地方創生に「稼ぐ力」や「ローカル・アベノミクス」などを次々と盛り込んでいった。

こうしたある種の問題のすり替え(人口から産業へ)によって、地方創生の事業の柱は人口減少=東京一極集中ではなく、地方の雇用づくりとなり、その補助金メニューには、イノベーションやロボット、インバウンドにDMO(国内外の観光地域づくり体制)、さらにはBID(ビジネス改善地区)など、カタカナや横文字の産業づくり事業が所狭しとならぶこととなってしまった。

なぜ本来は人口減少対策であったはずなのに、ここまで執拗に、地方創生が経済産業対策へと色づけしなくてはならなかったのか、筆者にはよくわからない。

また「ローカル・アベノミクス」というのも、たんに「地方の仕事づくり」を指すものと思われるが、なぜここに一国の首相の名前を個人崇拝のようにわざわざ入れ込んだのか、それも理解できない。

ともあれ地方創生は、機能としては、経済産業省に多くの事業を成立させる「経産省仕事づくり」事業としてもはや確立されてしまったようだ。

だがそのことで、地方創生は重大な欠陥を内包することになった。