『崖っぷちホテル!』(日テレ系日曜22時30分)も少し気になるドラマだ。
由緒はあるが、人気がなく、従業員もやる気がないホテルに、ある若者がやってきて、経営を立て直すドラマ。
密室ものであり、再建ものであるが、三谷幸喜作品ではない。つまりまあ、ある程度の展開が予想できるドラマである。
岩田剛典と戸田恵梨香がメインで、この二人、悪くないんだが、そんなに強く惹かれるわけでもない。ほかのメンバーも芸達者な人は多いが、ふわっとさせてくれる存在がなくて、全体的に何かひとつ足りない感じがする。
雰囲気はすべてとても上質なのに、もどかしくて、それがかえって毎週見逃せない感じになっている。ただまあ、いまから見るほどのものでもないかな。はずれではないけど。
『あなたには帰る家がある』(TBS系金曜22時)は二組の夫婦のドラマ。不倫ものというよりは夫婦もののようであるが、これといって特筆するようなポイントがない。
恋愛ドラマでもない。ホラーじみているがサスペンスでもない。ちょっと変わったホームドラマ狙いで、主婦層に見てもらいたいのだろう。あまりうまくいってるとはおもえない。
何となく、どうしようとおもってみていたら第4話になって、夫に浮気された妻中谷美紀と、その不倫相手の木村多江の直接対決のシーンがあり、真正面からお互いが静かに相手を非難していたが、ここはしびれた。うわーと声を出して見入ってしまった。
しかし、4話でこれは遅いっちゃ遅い。がぜん、興味は湧いてきたが、あまり期待しているわけではない。でも「ちょっと気になるドラマ」レベルには上がってきた。しかし、おすすめするわけではない。
『花のち晴れ』(TBS系火曜22時)はかつての人気ドラマ「花より男子」の続編。
と言っても当時のキャストはほとんど出ず(たまにゲスト出演している)、新しいメンバーでのドラマである。キャストも新しく、主演の杉咲花をのぞいて、若くてあまり知られてない役者が並んでいる。
ドラマとしては、貧乏な娘が無理して金持ちの高校に通っている設定で、きちんとおもしろい。知らない若い役者がたくさん出てくるのは、少し楽しい。目をつけたところで、ここに出ている若い役者が10年後、みんな有名になってるわけではないのであるが、そういうところもふくめて、若い人を見てるのは楽しい。
杉咲花にはやはり役者としての強い力がある。
このドラマはかなりおすすめなのであるが、しかし「ありえない金持ちの子弟が集まる高校」で「選ばれた5人による学園支配がなされている」、という設定に抵抗がないなら、の、おすすめである。私はかなり楽しみに見ている。
ディーン・フジオカの『モンテ・クリスト伯』は、19世紀のデュマの原作をどうするのかとおもっていたら、公安警察がらみで海外の獄につながれる、という設定になっていて、納得した。
まあ19世紀の理不尽をもとにした物語なのだから、無理は承知のうえお話を楽しむしかないのだが、でもなかなか無理がすぎるところがあって、あまり力を入れずに見守るしかない。
たぶん、これからところどころは気持ちいい部分があるだろうから(苦しいところを見たんだから、楽しいところも見せてくれないと復讐譚にならない)、そこを押さえておけばいいかな、とおもっている。
あまり、見守りたいとおもう登場人物はいない。これもいまからなら見なくていいでしょう。