北京大学が女学生の「Me Too」告発を圧殺しようとした事情

学生運動の広がりを恐れているのか
古畑 康雄 プロフィール

母親へも圧力

岳さんが4月23日に発表した文書によると、4月9日に情報公開を申請後、大学の教員や幹部から何度も呼び出され、岳さんは「順調に大学を卒業できるかどうか」「お母さんはどう思うだろうか」などと言われたという。

20日には学校からの回答が伝えられたが、その内容は「沈陽の問題についての会議の記録は残っていない」「公安局の調査内容は学校の管轄ではない」「沈陽の自己批判の内容は見つからなかった」という木で鼻をくくるようなものだった。

そして23日深夜、大学側は岳さんの母親と突然宿舎を訪れ、情報公開申請に関するデータを携帯電話やパソコンから削除するよう要求、彼女を自宅に連れ帰った。母親は学校側から(事実を歪めた)説明を受けてショックを受け、号泣して自分で自分の頬をたたいたり、自殺をほのめかしたりなど極度に感情的になり、母親との関係も悪化したという。

「情報公開を求めることが何の罪があるのか? 自分は間違ったことはしていないし、情報公開を申請したことを後悔もしていない。北京大学生として光栄ある権利を行使しただけだ」――岳さんはこのように批判した。

その上で大学当局に対して、「親に圧力をかけ、深夜に宿舎に押しかけるなどの違法行為を2度と行わないこと」「今回の件が自分の卒業に対して影響しないと保証すること」などを求め、「原則を前にして引き下がることはできない。妥協しても問題は解決しない」と一部始終を明らかにしたという。

岳昕さん
 

BBCやVOAの報道によると、当局は「北京大学」を検索禁止ワードにするなど情報封鎖を強化したが、岳さんの文書は文字を画像化して検閲を逃れるなどして広がり、さらにビットコインの取引サイトまで、岳昕さんの文章が掲載された。

1週間の沈黙を破って、岳さんは4月30日、再び微信に6000字を超える文章を発表し、北京大学による本人や家族への圧迫について詳細を明らかにした。

これによると23日、担当教員が母親とともに宿舎を訪れ、上層部は今回の情報公開請求の背後には「海外の勢力」がいるとみており、さらに「これは学校の規則に違反したなどという問題ではなく、反逆罪、国家分裂罪に当たる」と脅迫したという。

そして家族との連絡以外に微信を使ってはいけないと要求、「文章を発表したり、メディアで声を上げたりすることが、自分の自由などと思ってはいけない。あなたには本当の自由などないのだ」と語ったという。