ベトナムから中国へ…急増する「越境密航者」の実態

日本にもいずれ影響が…?
安田 峰俊 プロフィール

売春宿にも送り込む

モンカイの街で辺境住民渡航証を取得していたホンさんは今年3月17日朝、ブローカーの指示に従い一般旅行者のフリをして中国側へと渡航。東興市内にはブローカーと気脈を通じたバイタク(バイクタクシー)がスタンバイしており、彼女をそのまま郊外へ連れて行って、ブローカーの車に乗せた。

車は一路、東の広東省へ向けて走る。何度かある検問をくぐり抜け、隣の欽州市まで行ってしまえばいちおう一安心だ。ホンさんたちベトナム人密航者たちは、ここからは身分証チェックが不要な一般の長距離バスに乗せられ、佛山市や中山市など、広東省の地方都市に送り込まれることとなる。

ホンさんもまた、あらかじめブローカー側と話がついていた中山市の某企業に到着したのだが、このときは内偵していた武装警察の辺防支隊によって摘発を受けている。

 

『中国青年報』記事によると、ベトナム人を扱う密航ブローカーたちは広東省各地の労働市場や売春宿などに密航者を送り込んでいるようだが、行き先は上記の佛山市・中山市のほか、東莞市・江門市・珠海市など広東省内では2線級の街や、香港やマカオが多いようだ。当局の目がユルい場所だからだろう。

広東省のローカルな街角。気候が暖かく、ベトナム人にも暮らしやすいかもしれない

近年、同様の摘発報道は無数にあり、例えば2015年10月にも浙江省で中国人とベトナム人が混合した密航ブローカー集団が逮捕、2013年には雲南省でブローカー行為をおこなっていた中国人男性に懲役3年の実刑判決が出ている。

ネットの記事を確認する限りでは、中国が世界金融危機を生き残った2009〜2010年ごろから、ベトナム人の不法就労問題に関係する記事が増えているようだ。