セクハラ・パワハラの心理を徹底分析〜サイコパスの「真実」を明かす

身近に潜む「マイルド・サイコパス」
原田 隆之 プロフィール

ハラスメント防止対策に効果はあるか

こうしたハラスメントに対して、社会のひずみの是正、意識改革が声高に唱えられるが、それで加害者は本当に考えを改めるのだろうか。

確かに意識改革や啓発運動は大事である。それによって世の中の大多数の意識が変わってきたからだ。

加害者の多くは「無意識的に」ハラスメント行為を行っているので、意識改革や教育はそれなりに意味のあることのように思える。

しかし、依然として古い意識に凝り固まっている人々は、他人の意見を聞いても頑なになるばかりで、「そのつもりはなかった」などと言い逃れをして、ほとぼりも冷めぬ間に相も変わらず、同じ言動を繰り返してしまうのではないかという危惧もある。

たとえば、前財務次官は、いまだに非を認めておらず謝罪もしていない。

「全体を聞いてもらえばわかる」などと言い訳をしていたが、全体を聞こうが部分だろうが、あの発言が彼自身のものであれば、誰がどう聞いてもセクハラである。

日本の官庁のトップのトップにまで上り詰めた人が、なぜこんな簡単なことがわからないのだろうか。

 

ほかにも、伊調選手へのパワハラ事件について、「なぜこれがパワハラかわからない」などと放言した至学館大学の学長についても然りである。ハラスメントは知性とは関係のない別の要因がからんでいるのだろうか。

もしかすると、他人の権利や感情について、それに反応するスイッチが切れている人がいて、このような人々に対しては、いかなる異議申し立てや批判の言葉も、そして啓発活動や人権教育も響かないのかもしれない。

最近、欧米ではハラスメントを行う人々のパーソナリティに着目した研究が大きな関心を呼んでいる。

そうした研究のなかで、他人の人権を顧みることができず、その気持ちに共感ができない一群の人々を、「マイルド・サイコパス」と呼んでいる。

〔PHOTO〕iStock

「マイルド・サイコパス」とは

サイコパスと聞くと、誰もが思い浮かべるのは、連続殺人鬼や猟奇的犯罪者などの姿かもしれないが、研究によれば、サイコパスはどの社会にも人口の1%から数%は存在する。そして、その圧倒的大多数は犯罪行為までは行わない。

仮に日本に1%のサイコパスがいるとして、その数は100万人を超えるのだから、これは当然と言えば当然である。

ただ、犯罪までは行わないにしても、彼らは日常的に他人の人権を踏みにじったり、嫌がらせ行為をしたり、嘘をついたりして、世の中にじんわりと迷惑をかけ続けている。

つまり、彼らの多くが加担するのは、凶悪犯罪のような突発的な悪事ではなく、日常に溶け込む慢性的な悪事である。

サイコパスとはスペクトラム(連続体)のようなもので、その極端な一端に猟奇的犯罪者のような人々がいるが、別の端には犯罪的ではないが、慢性的に社会を蝕む「マイルド・サイコパス」がいる。

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