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いま、飲食業界が「進化系レモンサワー」に注目する理由

「レサワ戦国時代」がやってきた

SNSで存在感が急上昇

今年も、冷たい飲み物がおいしい季節がやってきた。仕事が終わって、あるいは友人や家族と楽しくお酒を飲みたいというとき、みなさんは何を選んでいるだろうか?

定番のビール以外にも、「最初の一杯」に当たり前のように選ばれるようになったハイボールや、「獺祭」の大ヒットで女性にも認知された日本酒を挙げる人が多いかもしれない。

しかしいま、アルコール飲料のブームに新しい大きな「波」が来ている。それが「レモンサワー」である。

舌先ではじける炭酸の爽快感、口いっぱいに広がるレモンの甘酸っぱさと香り…たしかにこれまでも、レモンサワーはたいていの居酒屋にある定番メニューで、決して不人気だったわけではない。とはいえ、「最初の一杯」に選ぶ人や、その味や素材使い、ビジュアルの違いまで楽しんでいる人はまだまだ少数派だった。

なぜ筆者は、レモンサワーに注目するのか。それにはデータの裏付けがある。

筆者が運営するメニュー単位のクチコミグルメサイト「SARAH」では、これまでメニュー別の投稿数を集計し、その時々のトレンドメニューを分析してきた。そのデータをもとに、今年1月には「前年比406%、SNSで激増する『ポテサラ投稿』の真相」(日経トレンディ)という記事を執筆したのだが、実はこのときは、ドリンクを集計外としていた。

2016年時点では、「SARAH」上にはレモンサワーに関する投稿はほぼなかった。しかし2017年になると、レモンサワーの投稿数が激増。増加率でいえば、実はレモンサワーがトップだったのだ。

 

「SARAH」への投稿には基本的に写真が必要なので、「インスタ映え」ではないが、見た目の美しさも重要になる。投稿を見てみると、いわゆるレモンサワーと聞いて思い浮かぶようなジョッキに注がれたものだけでなく、モヒートのようなオシャレなもの、スライスされた大量のレモンが入ったものなど、目にも鮮やかな写真が並んでいる。

飲食業界では「レサワ戦国時代突入」という言葉もまことしやかに語られ始めた。今年4月から8月にかけては、昨年に続き2回目の「レモンサワーフェスティバル」が全国7都市で開催されているほどだ。 このようなファクトから言っても、レモンサワーの波が来ていることは間違いない。

※グルメサイト「SARAH」:「担々麺」や「オムライス」など、メニュー単位の投稿から食べたい一品や飲食店を検索できるのが特徴。累計投稿数は35万件以上、毎日数百件の投稿が集まっている。

ブームの理由は「進化」

では、なぜいま急速にレモンサワーが注目を浴び始めているのだろうか?

まず背景として触れておきたいのが、近年の「大衆酒場ブーム」である。

気取らず1人でもフラッと立ち寄れて、古き良き時代の空気感が漂う「昭和っぽい雰囲気」が、若い世代にも新鮮に映り再び注目されている。実際、「SARAH」の昨年の「トレンドメニューランキング」上位は、大衆酒場の看板メニューであるポテサラや唐揚げ、もつ煮込みなど、こってりした肉中心の「茶色系おつまみ」が占めた。

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こうした味の濃い料理に合うお酒は何だろうか? これまでであれば、ビールかハイボールと相場が決まっていた。しかしこうした大衆酒場では、ほとんどの店で「隠れた定番」としてレモンサワーを用意している。

ビールやハイボールと同様に「料理の邪魔をせず」「脂っこさをさっぱり洗い流してくれる」飲み物として、レモンサワーをチョイスする人が確実に増えている。こうした大衆酒場ブームの波にうまく乗ったことが、ジャンプアップの一因とまずはいえそうだ。

次に取り上げたいのは、レモンサワーそのものが遂げた「進化」である。