「3億円借金」を超えて成功した僕が、20年前の自分に伝えたいこと

成功の、その先へいく秘密
水野 俊哉 プロフィール

利益の追求だけが起業ではない

 企業のありかたも、20年前とは大きく変わってきた。

パタゴニアの創業者、イヴォン・シュイナードの『社員をサーフィンに行かせよう』(ダイヤモンド社)を読んだときは、目から鱗が落ちる思いをしたものだ。
経営者の本といえば、会社を立ち上げて成功するまでの苦労話があれこれと語られるのが普通だが、パタゴニアは方向性がまったく違う。

もともとがサーファーや登山家などのアウトドア集団で、自分たちが使う道具を修理したり売ったりしているうちに大きくなった会社なので、「いつだって波に乗っていいよ、その代わりおれもそうするから」というのが社長のシュイナードのスタンスなのだ。

さらに、彼らは自然環境、地球との共存を大事にしている。「地球上で、地球に依存して成立していない会社はない」と考えており、利益の1%を世界中の環境団体に寄付、アメリカでもっとも商品が売れると言われている11月感謝祭のブラックフライデーには売り上げの全額を寄付しているという。
 
このように、会社というのはとことん儲けを出さなくてはいけないものだという従来の価値観を転換し、利益以外にも大切なものを追求している企業は少しずつだが増えている。

『日本でいちばん大切にしたい会社』(坂本光司/あさ出版)シリーズなどからも、そういう企業の「豊かさ」が認知されつつあるようだ。起業する側に限らず、働く側としても、こうした新しい価値観に目を向けることは非常に大切だと思う。

 

割り切った成功の方法も

 一方で、『サクッと起業してサクッと売却する』(正田圭/CCCメディアハウス)なども新しい企業観をもたらしてくれる一冊だ。

著者は「会社を売るのはトマトを売るのと同じ」だと言い、会社を売却することを前提に起業をすることは、最も確実な儲けの手段であると断言する。

そこで示されているのは、パタゴニアのような高邁な理念とは真逆にある、徹底した割り切り志向によって成功するルートだ。

世界的には、『ゼロ・トゥ・ワン』のピーター・ティールや、イーロン・マスクらが有名だが、規模こそそこまで大きくなくても、日本にもこうしたシリアルアントレプレナーが登場しはじめたことには感慨を覚える。
 
大きく成功するために、「起業」というステップが欠かせないのは今も昔も変わらない。しかし、そのあり方はどんどん多様化している。

20年前に起業した当時の僕が、これらの価値観を知っていれば、その後の人生はどうなっていたのだろうか?

平凡なサラリーマンである橘拓也が「自分の知らない世界を知りたい」と自腹でグリーン車に乗ったことをきっかけに、「大富豪」神宮司と知り合い、様々な教えを受ける物語。読書について以外も「目の前にいる人を大切にできない人が他を大切にできるのか」、「出るお金と入るお金を見た上で本当の収入がわかる」、「お客さんと自分とは一方方向ではない」、「不満があるならほかの道を探せ」等々、ビリビリ響く言葉にも会える。なお、本記事に出てくる具体的な書名はすべて本記事用に水野さんが書き下ろしたものだ。