財務省非常勤職員が見た、福田前事務次官ら「エリート官僚」の素顔

良くも悪くも彼らは…
岩崎 大輔 プロフィール

揺れる財務省

福田氏の辞任によって、次官の事務代理をする矢野康治・官房長。「次の次」の次官が見えてきた矢野氏は、愛妻家として有名だという。

「奥さんは浅野温子似の美人で、もともとは通産省の非常勤職員でした。矢野さんが小樽税務署署長に赴任している際、東京に毎日のように電話をかけるものだから、月の電話代が13万円になった、という話も聞きました。よく仕事を抜けだしてデートしていたようで、当時は笑い話で済んでいた時代です」

矢野氏は山口県下関の出身で、県立下関西高校の先輩には林芳正文科相もいる。言い添えるまでもないが、下関は安倍総理の選挙区・山口4区でもある。彼は、60年入省組だ。

「『60年入省組』はロクマルと呼ばれ、『可部哲生と岡村健司の一騎打ち』と言われていた。可部さんは筑波大駒場時代にいちばんの成績で、岡村さんは開成一の成績。ともに『2番をとったことがない』と言われた逸材でした。その一騎打ちに割って入る格好になったのが、矢野さんです。一橋出身で、さらに経済学部で、07年、内閣官房秘書官に行った際、『なんで矢野さんが?』と省内で囁かれた。

東大法学部出身でないと出世できないこの世界で、町村信孝官房長官に仕え、馬車馬のように働き覚えめでたくなった。仮に次官となれば一橋大卒は初。しかし、同期の岡村さん、可部さんも次官有力候補の一人。このあたりのレースも話題になるでしょう」

 

かつて大蔵省時代には「人事に政治は介入させない」という高い意識があった。同時に政治とは一定の距離を保ち、特定の政治家に利益を図るようなことを避けた。田中角栄氏のような有力な政治家の影響を受けた時期もあったが、人事は省内で決めていた。

しかし、2015年夏の安倍政権下、54年入省組の出世レースで異変が起きた。木下康史氏、香川俊介氏、田中一穂氏と、54年入省組から三人も次官が出たのだ。

木下氏、香川氏が相次ぎ次官へ就任するまでは予定通りだった。ところが田中氏は一次安倍政権で秘書官をしていた関係から次官に。『2015年夏の変』により、省内人事が乱れた。次の55年入省組からは主税局長の佐藤慎一氏が次官となったが、56年入省組は飛ばされ、57年の福田氏が次官となった。

ただでさえ異例の人事が続き動揺が起きていたなかで起こった福田氏のセクハラ問題。現在、後任人事も未知数だ。次の次官就任が本命視されていた岡本薫明主計局長にも暗雲が立ち込めているという。

「福田さんらの一つ下の昭和58年入省組では、太田充理財局長と岡本さんがツートップといわれ、主計局を歩む岡本さんは『本命』と見なされていた。しかし、岡本さんは公文書改ざん実行時の官房長なので、責任は免れないでしょうね。

太田さんも理財のトップとして責任の対象となります。何もなければ58年入省の岡本、太田で二人次官を輩出する見込みだったが、いまはもうわからない」

揺れる財務省。平穏はいつ訪れるのだろうか。