これでわかる「憲法9条」の本当の論点〜なぜいま「改正」なのか?

解釈が曖昧だとムダが多い
篠田 英朗 プロフィール

改憲問題とモリ・カケ政局

2018年を迎えたとき、今年は改憲論議が華やかになる年になるぞ、と多くの人が言っていた。

ところが実際には、国会議員はモリ・カケに、セクハラの問題ばかりを話している。改憲問題はどこかに行ってしまったのか。

完全に忘れ去られてしまったわけではない。

たとえば、「モリ・カケ問題」における攻守の構図は、政界のみならずメディアや評論家らを含めても、改憲賛成/反対の構図と同じだ。

「モリ・カケ問題」で政権を責め立てる人々が、「このような首相に改憲を語る資格はない」「もう改憲の可能性などない」、などと付け加えたりするのは、ここ数カ月で頻繁に見られた光景だ。

こうした事態は、ある程度は予測できた。

 

改憲反対派は、国会で改憲発議を止めるための議席を持っていない。国会外の運動と連動させて「改憲などありえない」という雰囲気を作るのでなければ、発議を阻止できない。

そこで国会における通常審議を拒絶してでも、国会外の話をしようとするのだ。

私は、昨年の衆議院選挙が終わった後、野党第一党の立憲民主党が改憲のカギを握る、というブログ記事を書いた(参照「改憲の鍵を握るのは、枝野幸男氏だ」)。

〔PHOTO〕gettyimages

それは国会の3分の1の議席を失った野党が、なお建設的な議論を通じて自らの主張を明らかにする態度をとり続けることができるか、という問いでもあった。それから半年がたち、結果は見ての通りであある。

立憲民主党は、目の前の支持者層の目の前の欲求を満たすことを最優先した。そして、政権を担当できる能力を持っていることを、広範な有権者層に訴えていくことを怠った。短期的な改憲阻止運動を最優先しないことが、かえって長期的には党勢の拡大につながる、という分析をしなかった。

その結果、目の前の改憲の可能性を先送りすることや、目の前の内閣の支持率を下げることに専心し、自らの政党支持率を上げることすら気にもとめない万年野党の役割に安住することになった。