生活が厳しい困窮家庭を救う「子ども宅食」半年の成果

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大西 連 プロフィール

「子ども宅食」の意味と価値

「子ども宅食」の成果とは何か?

それは、「見ないもの」に支援を「届けた」ことだろう。

特に、東京の文京区という、日本でも最も豊かな人が多いであろう自治体においての取り組みであることも象徴的だ。

そして、「届ける」ことによって生まれた「つながり」により、地域のさまざまなNPO等の活動や支援団体、公的機関や相談機関と接点をもつことができた人もいただろう。

また、ここで生まれた「つながり」によって、地域のなかで人間関係が拡がる人もいるだろう。

「子どもの貧困」への取り組みを考える時に、入り口の支援としての「子ども宅食」の意味と価値はここにあると言っていい。

〔PHOTO〕iStock

とはいえ、これからの展開を考える時には課題もある。

繰り返し述べてきたことではあるが、まだまだ社会のなかで「支援を利用する」ということには大きなハードルがあるのは間違いない。

スティグマ(負の烙印)という言葉を使うこともあるが、こういった支援の仕組みや取り組みを利用することが恥ずかしい、しんどい、と思わせてしまう社会であってはならない。

そして、「子ども宅食」としても、食品の提供を受けることを周囲に知られたくない、という風潮がもし強くなれば必要な人が利用してくれなくなってしまうのだ。

 

生活が苦しい、と言っても個別の状況はさまざまで、一人ひとりに対して、必要なサポートを考えていくしかない。一方で、まだまだ「貧困」に対しての社会的な理解は十分とは言い難い。

社会の理解を高めつつ、必要な人たちとどのようにつながっていくことができるのか。そして、財政的な観点からも持続可能におこなうためには何が必要か。

残念ながら「こうやったら必ずうまくいく」といった正解はない。あったとしても誰も知らない。取り組みや活動を続けながら、試行錯誤しながら見つけていくしかないのだろう。

「子ども宅食」のこれからの活動に注目したい。