生活が厳しい困窮家庭を救う「子ども宅食」半年の成果

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大西 連 プロフィール

子ども宅食利用者の実態から見えてきたこと

では、この「子ども宅食」は、一体、どのような人が利用し、彼ら・彼女らはどのような課題を抱えていたのだろうか。

平成29年度子ども宅食の利用者に関する調査報告」を見ると、いくつかの傾向がみてとれる。

もちろん、「子ども宅食」の利用者は就学援助利用者と児童扶養手当の受給者ではあるので、当然ではあるのだが、暮らしぶりの大変さがうかがえる結果となった。
(ここでの比較対象は東京都の「子供の生活実態調査」である)

たとえば、「経済的にできない」を選択した人の割合を見ると、「毎月お小遣いを渡す」が、東京都の調査(中2)では4.9%なのに対し、「子ども宅食」の利用者では20%をこえていた。

また、「毎年新しい洋服・靴を買う」は、東京都の調査(中2)では、3.7%にも関わらず、「子ども宅食」の利用者では20%近く、「習い事(音楽、スポーツ、習字等)に通わせる」にいたっては、東京都の調査(中2)では12.5%なのが、「子ども宅食」の利用者にいたってはその倍以上である。

経済的な事情により、子どもへの出費や、習い事、塾代などをあきらめざるを得ない状況が浮き彫りとなった。

「平成29年度子ども宅食の利用者に関する調査報告」17ページ

そして、興味深いのは、「お誕生日のお祝いをする」「クリスマスのプレゼントや正月のお年玉をあげる」は、東京都の調査(中2)の一般世帯の比率とあまり大きな違いがないことである。

経済的に苦しいと、確かにいろいろなものを切り詰めねばならず、子どもの洋服やお小遣い、文化的な活動や社会体験が最もはじめに削られてしまいやすい。

しかし、多くの家庭ではその苦しいなかでも、子どもの誕生日やクリスマスなどには、頑張ってプレゼントなどの費用を用立てしていることがわかる。

何とか子どものためにと、いろいろなやりくりをして、でもうまく用立てができない。それでも誕生日やクリスマスくらいは何とかしよう……そういった家庭が多いのがわかる。

 

1ヵ月3710円は安いか高いか

また、同調査では、「子ども宅食」の利用前後でどのような変化があったかも調べている。

それによれば、「子ども宅食」を利用したことにより、1家庭あたり1ヵ月平均で3710円の節約になり、その節約になったお金を44%が生活費にあて、31%は他の食品購入にあて、25%は子どものために使った(学習・衣服・おこづかい等)と回答している。

「平成29年度子ども宅食の利用者に関する調査報告」21ページ

「3710円の節約」とだけ聞くと、「え、それだけ?」と思う人も多いだろう。

対象世帯が150世帯なのだから、それこそ、毎月4000円の現金給付をすれば、予算は年間720万円で済んでしまう。現金の方が食料をもらうより使い勝手は良いだろうし、申し込みや配達の段取りなどのやり取りも不要だ。

もっといえば、文京区は就学援助利用者が約1000人、児童扶養手当の受給世帯は約700世帯ということなので、単純計算して1500世帯に毎月4000円の現金給付をするにしても7200万円で可能になるのである。

簡素な現金給付は「子ども宅食」の事業のようにいくつかの団体といろいろな人が関わって事業を組み立てていくよりもはるかに行政コストはかからないことだろう(事務経費等をふくまない雑な計算ではあるが)。