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生活が厳しい困窮家庭を救う「子ども宅食」半年の成果

この取り組みを知っていますか

「子ども宅食」とは何か?

「子ども宅食」をご存じだろうか。

先日、「平成29年度子ども宅食の利用者に関する調査報告」が公開された。

「子ども宅食」とは、東京都文京区において「子ども宅食コンソーシアム」によりおこなわれている、生活が厳しい子育て世帯への支援プログラムである。

「子ども宅食コンソーシアム」とは、文京区を中心に、認定NPO法人フローレンス、一般社団法人RCF、NPO法人キッズドア、一般財団法人村上財団、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会の6団体を構成団体としている。

主にふるさと納税を活用して資金調達をおこない、企業・団体等から譲り受けた食品等を文京区内の生活困窮家庭に配達している。

事業自体は2017年度にスタートし、2017年10月より2ヵ月に1度、平均8.4kgの食品を申し込んだ家庭に届けつつ、配達を通じて家庭を見守り、困りごとが起こる前にサポートをおこなっている。

「配達」というのがポイントで、どこかに食料を受け取りに行ったり、支援者と面談しなければ食料をもらえなかったりするのではなく、運送会社の協力のもとに、都合の良い時間を調整して「届ける」という方法をとっている。

運送会社が配達をするので、当然ながら、周囲の人(近所)に「支援を利用している」ということはわからない。近所の人に知られたくない、と思っている家庭にとっては助かる方法であるとも言える。

先日、記事を書いた「子ども食堂」は、どちらかというと、拠点をかまえ、そこに来てもらう形態をとることが特徴だが、「子ども宅食」は、来てもらうのではなく、届けにいくことが特徴であろう。

 

事業の概要としては、文京区内の「児童扶養手当」「就学援助」の受給世帯に対して、区が申し込み案内を送付してお知らせし、支援利用の希望者を募る。

利用希望者はLINE@、郵送、電話、区の窓口等で申し込みをおこない、抽選によって選ばれた150世帯が支援を利用するにいたった。

筆者は文京区民なのだが、区報の一面で報じられ、区としても民間との協働ということでかなり力をいれた取り組みと言えよう(ちなみに筆者はこの「子ども宅食」のアドバイザーもしている)。

文京区の就学援助利用者は約1000人、児童扶養手当の受給世帯は約700世帯ということなのだが、利用希望は458世帯から寄せられたというので、多くの世帯において支援利用を希望する傾向が見られたと言える(後述するが、一般的に生活が苦しい人や子育て世帯などは支援利用希望の傾向が低い、と言われることが多い)。

残念ながら文京区は、生活保護利用世帯は「子ども宅食」の事業対象世帯としていないが、生活に苦しい世帯という意味で考えると、さらに多くの世帯に情報を届け、支援利用につなげることができたと言えるだろう。

「子ども宅食」の実施主体である「子ども宅食コンソーシアム」では、2018年度以降も引き続き事業をおこなっていくために、ふるさと納税を活用したクラウドファンディングをおこなっている。

2018年度は利用希望者のすべてに支援を届けられなかったことも踏まえて、150世帯から600世帯に支援対象世帯を増やして事業をおこないたい、としている。

本稿では、この「子ども宅食」の利用者に関する調査報告により明らかになったデータや、「子ども宅食」という事業形態の特徴などをひもときながら、「子どもの貧困」について考えていきたい。