TOKIO強制わいせつ事件、「あの一言」が全てを台無しにした

甘すぎる現状認識と不誠実な態度…
原田 隆之 プロフィール

一番やってはいけないこと

ところで、この事件を受けて、テレビやネットではさまざまな意見が飛び交っているが、一番やってはいけないことは、被害者を叩くことである。

すでにあるテレビ番組で、往年の演歌歌手が「被害者も悪い」と臆面もなく言ってのけたことが批判を呼んでいる。

百歩譲って、軽率だったのかもしれないが、相手はまだ高校生である。

大スターから誘われたら、舞い上がってしまうかもしれない。あるいは、普段は父親のように慕っていた存在が、いきなり襲ってくることなど夢にも思わなかったのかもしれない。将来芸能界を夢見る少女だったとすれば、無下に断ることができなかったのかもしれない。

どんな性犯罪でも、被害者が悪いことは絶対にない。どんな事情があったにせよ、同意のない相手に性暴力に出ることが許される理由など1つもない。加害者が100%悪い。

それでなくても、被害者は自分にも非があったのではないかと思い、罪悪感に苛まれることが多い。

 

私自身、病院や刑務所で何百人もの性犯罪者の治療に携わってきた。

そのなかで、痴漢常習者は「相手も喜んでいると思う」「あんな短いスカートをはいているのは、触ってくれと言っているようなものだ」と言うし、小児性愛者は「相手から誘われた」「愛情の印だった」などと平気で言うことがある。

被害者の非を責め立てる者は、加害者と同じ「認知のゆがみ」をもっていることを告白しているのと同じである。

〔PHOTO〕iStock

これからの長い道のり

山口メンバーは、飲酒問題を放置していたことで、未成年を傷つけ、多くの人に多大な迷惑をかけ、大きすぎる代償を払ってしまったわけであるが、彼に今後立ち直る道があるとすれば、まずは自分の問題と向き合うことである。

以前にも書いたことがあるが、もし依存症なのであれば、依存症に打ち勝つための最初の一歩は、「負けを認める」ことである。

「自分の手には負えない」と負けを認めてはじめて、アルコールに勝つための戦いの長い道のりのスタート地点に立つことができる。

そして、その次には誰かに頼ることである。それは依存症治療の専門家だったり、「断酒会」など、すでに長い時間をかけてアルコールと戦ってきた「先輩」だったりする。

そして何より、許してもらえるかどうかわからないが、すばらしい仲間もいる。

どんな過ちを犯した者であっても、立ち直れないことは絶対にない。ただ、その方向を誤らないでほしい。

彼はTOKIOである前に、1人の人間なのだから、TOKIOに戻る戻らないということよりも、まずは被害者に対する償いをし、壊してしまった信頼関係や友情を修復することが先決だろう。

TOKIOには戻れなかったとしてても、罪を償って1人の人間としての尊厳を取り戻し、友情を回復することはできるだろうし、そのほうがずっと大事なことではないだろうか。

それを差し置いて「TOKIOに戻りたい」などと言ってしまうことは、問題の重大さがわかっていない証拠であるし、自分の進むべき方向が見えていないことの証拠でもあるだろう。