安倍総理不在で行われた「小泉政権同窓会」 その内幕を明かそう

彼らはいまの政権をどうみているのか
常井 健一 プロフィール

「拓さんは石破だな」

「自民党にも相談したいと思っています」

都議会自民党との亀裂を深めている小池は眼前の「自民党幹事長」にそんなふうに秋波を送ってみたが、当の二階は明答を避けた。

昨年の4・18は、自民党と小池の決別を決定づけた都議選の直前でもあった。小泉が気を利かせて音頭を取り、二階と小池に「指切りげんまん」をさせる場面もあった。

だが、1年の間に2度も死闘を繰り広げた二階と小池の間には、どことなく不穏な空気が流れていた。さすがの小泉でも、ふたたび「指切りげんまん」を促せる雰囲気ではなかった。

22時14分、二階が店の外に出てくると10人ほどの番記者が取り囲もうとした。しかし、二階は無言のまま、隣のビルの裏口に消えていった。その2分後、小池も同じように報道陣の問いかけに応じることなく、その場を去った。

さらに10分後、山崎、武部が暖簾の向こうから順に出てきた。そして22時32分、全員分の支払いを終えた小泉が現れた。

「どうもありがとう~」

 

本日の主役は仲居たちに声をかけるなり、20人近い報道陣のスクラムにひとりで飛び込んだ。千鳥格子の上質なジャケットをもみくちゃにされながら、牛歩の如くゆっくりと前に進んだ。

あとは、テレビで報じられたとおりだ。

――今日はどんな話を。
「大した話はしていないの。現役は二階幹事長だけだから、もう我々が出る幕じゃないなという話をした」

――財務省の福田次官が辞任したことについてはどのようにお考えですか。
「そんな話は、全然出なかったなあ」

――辞任にはどんな背景があるのでしょうか。
「わかんないねえ~」

――先週、小泉さんは記者団に「安倍さんの総裁3選は難しい」という見方を示しましたが。
「わかんないって。私の予想なんて当たらないよ」

小泉は煙に巻き、愛車のトヨタ「ミライ」に乗り込んだ。

一方、別の場所で報道陣に囲まれていた山崎は、やけに饒舌だった。

「現下の政局について様々な話題をした。人身一新の時が来た(という話)。具体的には申し上げられないが」

実際、4時間以上に及んだ同窓会の中で、総裁選の話題をリードしていたのは山崎だった。食通を唸らせる「津やま」の名物料理が並ぶテーブルの上では、様々なポスト安倍候補の名前が飛び交った。そんな中、山崎は石破茂に好意的な素振りを見せ続けた。

「拓さんは石破だな……」

出席者たちは、そう察した。

「また来年もやろう!」

お開きの直前、小泉は4人に呼びかけた。昨年も同じフレーズを口にしながら、愛用する黒革の「衆議院手帖」をジャケットから取り出し、1年後の約束を余白に書き込んでいた。

そして、こう言い残していた。

「来年も安倍さんは総理を続けているよ」

2018年4月時点、小泉の予想通り、安倍は総理の椅子に居座っている。現職時代には「政局の小泉」と呼ばれただけあって、元総理の見立ては今でもよく当たる。

では、2019年4月18日まで安倍政権は続いているのか──。

今年の同窓会では、小泉が「愛弟子の1年後」を口にすることはなかった。

(文中敬称略)