安倍総理不在で行われた「小泉政権同窓会」 その内幕を明かそう

彼らはいまの政権をどうみているのか
常井 健一 プロフィール

笑いの渦

それから間もなくして、自民党幹事長の二階俊博(79)が岸田派のパーティー会場から駆け付けた。二階は小泉時代、自民党と連立を組んだ保守新党の幹事長を務め、自民党に復党した後には「衆議院郵政民営化特別委員会委員長」として小泉構造改革を後押しした。そんな関係で、昨年の会合にも呼ばれた。

二階は武部の隣に座り、昨年と同様、小池と向き合う形となった。

下座に腰を掛けた小泉は、テーブルのコップやお皿に目を配り、注文を仕切るなど、ホスト役をそつなく務めつつ、「主役」としてしゃべり続けた。

「『論語』には、孔子が『過ぎたるは猶及ばざるが如し』と言ったと書いてあるけど、実際は、過ぎたるは及ばざるより、悪い。俺に言わせりゃ、『過ぎたるは及ばざるより悪い』なんだ。弁解するのに余計なことを言っちゃったら、覆水盆に返らず。夫婦関係でも、それは気をつけなくちゃいけないんだ」

妻の奔放な言動を巡って「余計な弁解」を続け、国政を混乱に陥れた安倍の罪深さを言外に匂わすと、小泉は冷や酒で喉を潤した。

 

1年前の4・18との大きな違いは、小泉政権が生んだ「スター」である安倍がその場にいないことだった。今年は訪米中で日本にいない。つまり、小泉が呼ぼうと呼ぶまいと、安倍は出席できない。それはお互いにとって都合が良かった。

「小泉政権同窓会」は、メンバー5人が揃ってからも2時間以上続いた。小泉と山崎が競うようにして冷酒の一升瓶を空ける一方、二階はお茶で通した。

「唯一の現職議員である二階さんはほとんど話さなかった」

ある出席者は、こう明かす。

二階の重たい口が開いたのは、自民党総裁と幹事長との関係について話題が及んだ時だった。

幹事長の頃、総裁の小泉に忠誠を尽くした武部が「偉大なるイエスマン」とアピールしていたことを振り返ると、山崎は自らを「元イエスマン」と語った。小泉時代の山崎は幹事長退任後、改革に前のめりのなる小泉に苦言を呈することが少なくなかった。

では、現役の幹事長はどうか。出席者たちの目線は二階に向けられた。

「二階さんは、安倍さんとはどうなんだ」
「うーん、普通のイエスマン」

二階が山崎にそう返事すると、「津やま」の1階は笑いの渦に巻き込まれた。

「そりゃいいな。幹事長が総裁を支えるのは、あったりめえだ」

小泉も腹を抱えていた。

「原発問題。経産省の言っていることは、全部ウソ。ダマされるな。同じことを安倍さんにも言っている」

小泉は経産省内に大きな影響力を持つ二階に向かってこう切り出し、持論の「原発ゼロ」を熱弁し続けた。

「安倍政権で原発ゼロにするのは、もう無理だ。次の政権に期待したい」

それには、二階は否定も肯定もせず、ただ黙って耳を傾けていた。

もうひとつ、前回から大きく変わったことがある。それは、たった1年で、世の小池人気が天から地に落ちたということだ。小池新党「希望の党」はわずか半年あまりで解党することが決まった。

筆者撮影

「小池さんは、知事の職を全うしたほうがいいよ」

前回と同様、小泉はこう諭した。小池はうなずきながら、悩みを打ち明けた。

「オリンピック中に任期満了を迎えるから、その前に都知事選を済ませておかないとまずいんです」

東京オリンピックは2020年7月24日に開幕する。だが、「主催者」である都知事の小池は7月30日に任期満了を迎えてしまう。そこで、開催期間中に知事選がぶつからないよう、前倒したいというわけだ。