安倍総理不在で行われた「小泉政権同窓会」 その内幕を明かそう

彼らはいまの政権をどうみているのか
常井 健一 プロフィール

「『もう引き際』って、本当に言ったのか?」

それから、1ヵ月後。4月18日夜、小泉は東京・赤坂にある行きつけの小料理店「津やま」で、山崎拓(81)と武部勤(77)と向き合った。今や「長老」として扱われる3人が一堂に会すのは、ちょうど1年ぶりだった。

5年5ヵ月に及んだ小泉政権時代、自民党幹事長として党運営を担ったのが、山崎、武部、そして安倍である。昨年は、たまたま同じ店に居合わせた安倍が飛び入り参加したおかげで、幹事長経験者3人が全員揃った。マスコミは「小泉政権同窓会」と名付けた。その内幕は、『決断のとき』(集英社新書)に詳しく記録しておいた。

筆者撮影

18時過ぎ、長老3人が乾杯した頃、財務省では麻生太郎大臣が福田淳一事務次官の辞任を発表。続いて、福田が自らのセクハラ問題を釈明する記者会見が行われていた。

早速、その話題になると、小泉は例の川柳を得意げに諳んじて見せた。

「面白い川柳があるんだ。切る尻尾、使い果たして、お尻に火」

すると、向かいに座った山崎は負けじとこう切り返した。

「佐川さんでトカゲの尻尾切り、福田さんでトカゲの胴体切り。トカゲのシャッポ(頭=財務相)も切らないといかん」

小泉は、山崎の隣に座る武部とともに笑った。

 

「ところで、小泉さん。週刊誌で『安倍さんはもう引き際だ』と語っていたけど、あれは本当に言ったのか」

山崎は前日(4月17日)に発売された「週刊朝日」にあった小泉インタビューの中身について、「本人」に確認してみた。小泉は苦笑いしながら、「言っちゃった。参った」とワンフレーズで返した。

宴は、1階にある小上がりで行われた。掘り炬燵風のテーブルは、カウンターの客が振り返れば、丸見えだ。40年以上も「津やま」を贔屓にしてきた小泉は、客人を招く時には2階にある個室の座敷を押さえるが、気の置けない仲間と飲む時には1階に陣取る。そこでの会話が外に漏れても、「小泉にオフレコなし」と呼ばれただけあって、一切気にしない。

ところが、永田町の政治記者たちは「安倍倒閣に向けた決起集会だ」と色めき立った。2階建ての店の外には30人以上の報道陣が詰めかけ、「密談」が終わるのを待ち構えていた。

19時27分、赤坂の小径にできた黒山の人だかりをかき分けるように、SPを携えたひとりの女性が現れた。

「こんばんは~」

東京都知事の小池百合子(65)だ。不敵な笑みを浮かべる彼女も、昨年の4・18に「津やま」に集ったメンバーである。

小池は黒いパンプスを脱ぎ、昨年と同様、小泉の隣に座った。濃紺のスカートスーツに上品なゴールドチョーカーを合わせた出で立ち。花柄の刺繍が入ったVネックのインナーが、そこはかとなく妖艶さを醸し出していた。「マドンナ」の登場で、男だらけの宴席は一気に華やいだ。