1000万円を超えるものも…!知られざる「勲章」売買の世界

集めている人もいるんです

勲章、賞金はあるのか

叙勲が制度化されて140年余、敗戦による中断があったが、今は毎年春と秋、マスコミで報じられる勲章は風物詩となっている。では勲章にはどのような種類があるかご存じだろうか。

2003年の制度改革以来、以下のようになっている。

①大勲位菊花章頸飾、②大勲位菊花大綬章、③桐花大綬章、④旭日大綬章、⑤旭日重光章、⑥旭日中綬章、⑦旭日小綬章、⑧旭日双光章、⑨旭日単光章、⑩瑞宝大綬章、⑪瑞宝重光章、⑫瑞宝中綬章、⑬瑞宝小綬章、⑭瑞宝双光章、⑮瑞宝単光章、⑯文化勲章、⑰宝冠大綬章、⑱宝冠牡丹章、⑲宝冠白蝶章、⑳宝冠藤花章、(21)宝冠杏葉章、(22)宝冠波光章

それまでは勲一等~勲八等などと数字によるあからさまな階級区別があり、反発が強かった。このため階級色を薄めて上記のようになった。よくみれば大・中・小などとどれが上でどれが下かは分かるが、数字による区別よりは分かりにくいのかもしれない。

実際、旧制度では勲章制度を批判していた財界トップが、新制度になって旭日大授章を受けている。

①~③は数字が若いほど勲位が高い。たとえば①は最高勲章で、天皇ら皇族と明治の「元勲」らの勲章である。戦後復興期に長年首相を務めた吉田茂は1967年の没後、これを贈られている。なお吉田の頸飾は翌年、私邸に賊が入って盗まれてから見つかっていない。

②は生前の吉田と佐藤栄作(没後に大勲位菊花章頸飾)、中曽根康弘がそれぞれ受章している。③は旭日、瑞宝とも大綬章の中で特に功績が高いと認められた者に贈られる。

旭日章と瑞宝章に、勲位上の上下はないことになっている。違いは対象者の属性だ。大別すれば、前者は政治家など公選職や民間人で、後者は公務員である。

選考にあたっては一定の基準がある。たとえば首相や衆参両議長、最高裁判所長官の「三権の長」は旭日大綬章。ただし功績によって桐花大綬章になり得る。国務大臣は旭日大綬章もしくは一つ下の重光章。瑞宝章で言えば、今、何かと話題の事務次官は重光章以上が基本だ。

 

こうした例から分かる通り、どんな勲章になるかは役職によって決まるところが大きい。選ぶ側にすれば、何らかの基準があった方が具合がいいからだ。たとえば都道府県知事の経験者はコレコレ、政令指定都市の市長はコレコレで、それ以外の首長はコレコレ、という風に基準がある。非常に分かりやすいヒエラルキーだ。

より難しいのは民間人、たとえば企業の経営者だ。経済社会の発展への貢献度が判断の対象になっているが、官僚や政治家ほど分かりやすい指標ではない。しかしポストと連動しているという点では、官僚や政治家と同じだ。

筆者は、銀河系でも数少ない(推計)日本の勲章の研究者なので、勲章について取材を受けることがままある。「勲章をもらうと賞金があるんですか?」と聞かれることがあるが、結論から言えばない(栄典に特権を付すことを禁じた日本国憲法14条3項による)。ただ文化勲章は事実上の例外だ。受章者は原則として文化功労者から選ばれ、文化功労者には終身年金が支給されるからだ。

さて勲章はどれくらいの費用をかけて作られているのか。所管する内閣府賞勲局はそれを明らかにしていない。顕彰される功績の度合いが、貨幣価値で計られることへの懸念からだ。モノとしての勲章は、一定の金額で造られている。とはいえ同じ勲章でも、それを受ける人によって構成の内容はさまざまだ。

また原則として70歳以上が対象であり、長年一つの道に精進し、公共に貢献したことを顕彰するものである。勲章にはモノを越えた値打ちがあり、そこに至るまでの過程には値段が付けられない。

ただ、その勲章にしっかり値段が付けられていることがある。勲章には市場があり、売買されているのだ。