Photo by iStock

憲法9条について「ディベート」するエロゲーをご存じだろうか

「論破ゲーム」の危うい構造

安倍晋三首相は昨年5月、日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」を中心とした改憲集会において、2020年までに憲法改正を実現したいと表明した。

同会は憲法改正賛同署名運動を展開し、今年3月14日には、「憲法改正賛同1000万人達成!中央大会」を開催している。1000万人といえば有権者の10%を示している。

この数字をどう読むかは議論すべきところだが、右派・保守の活動は、今後残りの90%に含まれる浮動票と護憲派を相手に、さらに活発に展開されていくことが予想される。

一方で、そうした運動とはまったく別のフィールドでも、憲法改正が議論されている。キーはサブカルチャーである。

 

これが改憲エロゲー「DS9」

憲法9条を題材としたエロゲーがあることをご存知だろうか?

蛇ノ道ハ蛇ソフト社が10周年記念で発売した「ディベートスクールナイン(以下、DS9)」だ。これは、Windows用のコンピュータソフトウェア倫理機構の定める18禁のゲームである。公式HPの売り文句は「エロゲーで憲法9条について語り合おう!」「ねぇねぇ、戦争の話をしようよ!」である1

ついに憲法問題は男性の股間に訴えかける時代となった。しかし、なぜ「エロゲー」で「憲法ディベート」なのだろうか。

早速このゲームを購入してプレイしてみた。著作権保護の観点から、内容に関しては必要最小限にしつつ構造的側面(形式)に着目して話をしよう。

そもそもエロゲーは、1996年ごろから、PC用のパッケージソフトとして市場を広げた。少人数かつ低予算での開発が可能であり、インディ系の会社でも新規参入が容易だったことが市場拡大の要因とされている2。ノベル形式とエロ描写を組み合わせた低容量なゲームで、低スペックのPCでも楽しめる。

今ではゲームの一大ジャンルになって久しい。

本作DS9もまた、その系譜にあるソフトだ。数パターン程度の画像とキャラクターボイス、物語の分岐をさせるプログラムでできていることから、いわゆる、典型的なエロゲーといってよい。

そうした意味において、エロゲーとは、核となるシステムを維持させたまま、中身における意匠(ネタ)の違いで商品を生すジャンルなのだろう。

本作DS9もまた、その意匠における女性表象は典型的で、清楚・ツンデレ・萌え・巨乳・ロリ・姉妹・オタク女子・ミステリアスなどだ。

それらの要素を組み合わせて揃えておけばガラガラポンで出来上がり。本作もまったくその王道を外していない堂々たるエロゲーである。