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トランプ出現だけでは説明できないアメリカの変貌「3つの要因」

だから貿易戦争は止まらない

2018年4月17日から2日間にかけて日米首脳会談が行われた。為替への言及といった最悪の事態は回避され、株式市場等では「無難な結果」との受け止め方が目立つ。

しかし、米国で自由貿易の足場が弱まっており、「力によるグローバル化」のリスクが高まっていることは見逃せない。「トランプ劇場」の背後には、今後の世界経済を危うくしかねない大きなうねりがある。

会談は悪くはなかったが

日米首脳会談は、日本にとって決して悪い結果ではなかった。主眼となる北朝鮮問題では、拉致問題への取り組みを含め、日米の結束が改めて確認された。日本にとっては、満額回答といって良いだろう。

通商問題でも、最悪の事態は免れた。鉄鋼・アルミ製品への輸入制限措置の適用除外こそ得られなかったが、反面、適用除外を得ようとした日本側が、輸出自主規制等の国際ルールに抵触しそうな譲歩に踏み込むこともなかった。

為替や安全保障をからめた対日批判が懸念されたが、こうした論点が表面化することもなかった。

焦点のひとつであった今後の日米協議のあり方については、新たな2国間協議の枠組みが合意された。

米国は日米自由貿易協定(FTA)への意欲を示したが、それが新協議の目標とされたわけではなく、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への米国の復帰を目指す日本との立場の違いが明らかにされるにとどまった。

新たな協議の枠組みについては、「日本は時間稼ぎに成功した」と楽観視する声もある。トランプ政権は各省人事の遅れが著しく、対日交渉に割ける体力が豊富とは言い切れない。

通商法301条の発動等、中国との貿易摩擦が深刻化するなかで、どこまで日本との新協議に力を入れられるかは未知数である。

 

米国第一主義とディールへのあくなき欲望

もっとも、楽観は禁物だ。米国が自由貿易を支える力は弱まっている。どのように新たな協議が進むにせよ、日本が変貌しつつある米国に対峙しなければならない現実は変わらない。

もちろん、今回の日米首脳会談が大きく注目された背景には、何かと不規則な発言が多いトランプ大統領の存在がある。トランプ大統領の真骨頂は「米国第一主義」であり、自らに有利な取引(ディール)へのあくなき欲望である。

それでなくてもトランプ大統領は、周囲の意見を取り入れるというよりは、その場で自らが決断を下す局面が増えている。日米首脳会談にしても、首脳同士の「出たとこ勝負」にならざるを得ないと言われ続けてきた。

トランプ大統領との交渉では、これまでの国際政治における暗黙のルールですら、その有効性が怪しくなる。

トランプ大統領は、在韓米軍の存続を梃に韓国に自由貿易協定の修正を強いたように、安全保障を米国の経済的な利益との天秤にかけてくる。日米の強固な同盟関係を前提とした対応が、トランプ大統領に通用するとは限らない。

今後の日米交渉でも、トランプ大統領に振り回される局面はあるだろう。

強硬な通商政策は、トランプ大統領の公約である。11月の議会中間選挙が終われば、2020年の大統領選挙が視野に入る。日本が「時間稼ぎ」を考えるにしても、それには相当の長い時間軸が必要となる。