通勤電車でZOZOTOWNかインスタしか見ない女子の精神構造

ストレス溜まるとゾゾる女たち
松本 愛 プロフィール

荒技

「この頃ね、服がたくさんあることに喜びを感じなくなった気がする。むしろ、物を持ちすぎることがストレスで……」と言うのは友人Sだ。

パンツを2本も買い足したばかりの私だが、その気持ちも良く分かる。何度も言うが、パンパンのクローゼットに感じるのは誇らしさではなく恥ずかしさだ。

すると仕事のストレスから1日で30万円分ゾゾった編集者Oが「実は、最近、買ってないんだよね」と打ち明けてくれた。

「ゾゾってはいるの。カードで支払いも済ます……でも、配達日をずっと先に指定して、発送前にキャンセルするの」。

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非難されてもおかしくない、とんでもない荒技に驚いたが、彼女にすれば理にかなっているようだ。カートに入れるだけ、という遊びは私もよくするが、ストレス指数が高ければ高いほど実際に決済してしまう確率が高まるので、危険だと感じていた。決済後にもう一度、頭を冷やす時間が取れればその危うさは軽減するかもしれない。

香山氏も「ストレスを感じてネットショッピングに走るのは、物欲を満たすためではなく、緊張と弛緩のプロセスに覚える快感のせい」という。つまりポチる→決済までの流れが体験できればそれでストレス解消はできてしまう。服は必要ないのだ。

 

不安でもゾゾとうまく付き合いたいから   

あなたが「最近よくZOZOTOWN(やネットストア)にアクセスしているな」と思ったら、それはストレスを感じているサインかもしれない。もし、ストレスで必要のない物まで買っているようなら、罪悪感からさらなるストレスを生み出さないようにこの記事のことを思い出して欲しい。

眠れないほど不安な夜のベッドからでも、いまいちうまくいっていない彼氏の隣からでも、喧嘩ばかりの家の中からでも、朝晩の満員電車の中からでも、服が買えるようになったのはありがたく、やりきれない気持ちを救ってもらったことは数知れない。

ファッションは大好きだし、ネットショッピングも愛(用)している。だからこそストレスのはけ口として汚してしまわないよう、節度ある付き合いが大切だと思うのだ。

松本愛(まつもと・あい)ライター。1982年東京都生まれ。編集プロダクション勤務を経て独立。書籍や雑誌、カタログなどの制作を手がける。美容ライターとして、コスメの企画やメディア出演なども行う。女性の美しさと健やかさと幸せの追求をテーマに活動中。
香山リカ(かやま・りか)精神科医・立教大学心理学部教授。1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。豊富な臨床体験を活かして、現代人の心の問題を中心に様々なメディアで発言を続けている。専門は精神病理学。近著に『「わかってもらいたい」という病』(廣済堂出版)、『憲法の裏側:明日の日本は…』『トランプ症候群:明日の世界は…』(共にぷねうま舎)、『フェミニストとオタクはなぜ相性が悪いのか』(イースト・プレス)、『保健室と社会をつなぐ』(本の泉社)、『「いじめ」や「差別」をなくすためにできること』(ちくまプリマー新書)他多数。