宇宙を支配する「たった1つの数式」があるって知っていました?

高校の物理では習わない、この世界の秘密
橋本 幸士 プロフィール

宇宙は1つの数式で書かれている

「ムッチャ面白いんですよ、素粒子物理って。だって、宇宙のぜんぶ、あなたの今の動きも、私の話も、ぜんぶ、17種類くらいしかない素粒子で、出来てるんですよ」

超ひも理論は、まだ仮説だ。けれど、素粒子が少なくとも17種類発見されていて、この宇宙には重力をはじめとする4つの力がある、ということは仮説でもなんでもなく、事実だ。それは、科学者が認める、人類の知の金字塔だ。

 

僕は言う、「3分も聞いてくださったあなたに、こっそり秘密を教えてあげましょう。この宇宙のすべてを支配する数式、というのを科学者は知っているんですよ。たった1つの数式、をね」

見てみたい、と言った人には、近くにある紙のレシートの裏にでも、僕はその数式を書いてみせることにしている。それは、こんな数式だ。

宇宙を支配する数式

この数式は「素粒子の標準模型の作用」に「アインシュタイン=ヒルベルトの作用」を加えたもので、現時点で宇宙のほとんど全ての現象を記述できる数式なのである。

宇宙のすべてを支配する数式、の存在

大抵の方がショックを受けるのには、理由がある。まずは、そんな「たった1つの数式がある」ということだ。数式というものは個々の状況に応じて書かれるものだから、現象に応じて数式がある、と考えがちだからだ。

高校の物理でも、たとえば、坂道を滑り落ちる物体の運動方程式だとか、振り子の運動方程式だとか、バネの運動方程式だとか、状況に応じて運動方程式を立てなければならない。だから、面倒なのだ。

でも、本当は、振り子でもバネでもぜんぶ、素粒子からできていて、素粒子の運動が、ぜんぶを支配している。そして、素粒子は17種類で、その運動は、さっきレシートの裏に書いた数式で、ぜんぶ決まっているのだ。

ああ、そんな「究極」まで科学は宇宙のすべてを解明してしまったのか!

「じゃあ、どうしてこんなに大事なことが高校の教科書に載っていないんですか?」

その理由は2つある。第一に、高校までの物理と数学では、この数式をあやつる練習ができていないため、鑑賞するだけになってしまうこと。第二に、実はこの数式で記述できない現象がほんの少しだけ知られていて、数式がまだ完成していないこと。

僕は、それでも、高校生くらいになったら、この数式のことを人類は知っておいたほうがいいと思っている。だって、すごいじゃないか。ちっぽけな人間が、ここまで宇宙のことを知ることができたなんて。

難しい数式である。実際、この数式を使って計算を進めるためには、大学院で素粒子物理や宇宙物理を専攻し、「場の量子論」と呼ばれる分野の分厚い教科書を読んで学ぶ必要がある。

でも、レシートの裏に、その数式が書かれているのだから、眺めていると、不思議な気分になってくる。あれ、積分記号があるぞ。左辺はSだけで簡単なのに右辺は長いなぁ。ギリシャ文字っぽい記号があるぞ。

そう、それが、科学の始まり。なんだろう、と思って観察してみる。ネットで少し調べてみる。そこから、あなたの「宇宙」が始まるのです。

パパにならってみた 書影

    『「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた

パパが書いた1つの数式が、宇宙のすべてを支配してる!? 身近な現象から「ヒッグス粒子」「重力波」「暗黒物質」までの最先端理論を、物理学者のパパが娘たちに70分かけてガチ語り! 物理はやっぱりオモロいわ!

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